ベン・アフレックの意欲作『ザ・タウン』が全米ナンバーワンに決定! 9月20日版
全米ボックスオフィス考
2,861館・推定3,500スクリーンで大型公開されたベン・アフレックのサスペンス映画『ザ・タウン / The Town』(原題)が2,381万ドル(約20億2,385万円)をたたき出して今週のナンバーワン映画に輝いた。(1ドル85円計算)
今週第4位にラインクインした映画『バイオハザード IV アフターライフ』写真ギャラリー
『ザ・タウン / The Town』(原題)は、以前にベン・アフレックが版権を購入した小説の映画化で、ベン自身が監督・脚本・主演も兼ねている熱のこもった力作である。第82回アカデミー受賞映画『ハート・ロッカー』に出演して以来注目を集めているジェレミー・レナー、テレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」で人気の男優ジョン・ハム、そしてシブい演技派のクリス・クーパーが脇を固めており、見ごたえのある内容に仕上がっている。配給会社ワーナーの調べによると、週末に同作品を観に来ていた観客の55パーセントが男性、そして75パーセントが25歳以上のお客であったとの統計が出ている。
第2位は、高校生パワーがものをいった映画『イージーA / Easy A』(原題)で1,773万ドル(約15億705万円)の売り上げ。ちなみに、アメリカで映画チケットを買う客層は25歳以下の若者がかなりの割合を占めている。特にティーン・パワーは強力で、加えてティーンの女の子たちのボックスオフィス戦力もバカにできない(映画『トワイライト』シリーズの成功を見てもお分かりのとおり……)。この現状に乗っ取って、ハリウッドの映画工場はハイスクールなどを舞台にしてティーンの女の子たちが共感できるようなストーリーを“生産”し、そして“原料”の中心にアマンダ・バインズなどのように若者に人気の俳優を使用、そしてドーンと大型“売り出し”を週末に行うのである(『イージーA / Easy A』(原題)の上映館は全米2,856館・公開スクリーン推定数3,500)。客層を見据えたこのハリウッド・レシピに従えば、取りあえず売れるというのがこのティーン・ムービーというジャンルなのだ。今週の『イージーA / Easy A』(原題)の上位ランキング入りは、このレシピの成功を裏付けた結果といえよう。
第3位は、初登場のホラー映画『デビル / Devil』(原題)で1,229万ドル(約10億4,465万円)。M・ナイト・シャマランが考案したストーリーを基にした映画で、普段は監督であるシャマランが今回はストーリーを担当している。シャマランのブランドが付いた歴代の作品中で、『デビル / Devil』は残念ながら一番低いデビュー興行成績となっている。
続いては先週のトップから第4位に転落してしまった映画『バイオハザード IV アフターライフ』で1,000万ドル(約8億5,000万円)の成績。62.5パーセントという、歴代『バイオハザード』シリーズの2週目売り上げの記録において、他シリーズ同様の降下度を記録してしまった。
鑑賞券の値上げなども伴い、4作目は売り上げの数字面では、公開から10日での興行収入は過去の『バイオハザード』シリーズを上回っているものの観客数においては最低を記録しており、やはりここへ来てシリーズ4作目の疲れというものが表れてきているようだ。
今週のトップ5ランキングの最後を飾ったのは新作3Dアニメ映画『アルファ&オメガ / Alpha and Omega』で911万ドル(約7億7,435万円)の売り上げ。3D上映からの売り上げが68パーセントを占めており、ハリウッドの3D嗜好(しこう)は依然として健在といえる。ちなみに配給ライオンズ・ゲートの調べによると、同作品を観に来ていた観客の63パーセントは女性客で、そのほとんどが母親とその子どもたちという結果が発表されている。
さて、次回のチャート予想だが上位登場確実なのが1987年に公開されて大ヒットしたオリヴァー・ストーン監督、マイケル・ダグラス、チャーリー・シーン出演映画『ウォール街』の続編にあたる、映画『ウォール・ストリート』だ。
主演のマイケルはそのままだが、チャーリー・シーンに代わって、主役のゲッコー(マイケル・ダグラスの役名)に痛めつけられる若手株式仲買人はシャイア・ラブーフが演じる。
次の上位候補作品は、シリアスなドラマよりもコメディーがお好みの映画ファンにピッタリの、映画『ユー・アゲイン / You Again』(原題)。高校時代にチアリーダーのライバル同士でいがみ合っていた二人(ジェイミー・リー・カーティスとシガーニー・ウィーヴァー)が中年になってから子どもたちを通じて再会。再びライバル熱が再燃し、女の醜くも笑えるバトルが再開する……というコメディーだ。共演にはハリウッドで人気爆発中のおばあちゃん女優ベティ・ホワイトも参戦しており、話題を呼んでいる。
そして最後の上位候補は、ファミリー向け映画『ガフールの伝説』だ。フクロウが主人公の冒険映画で、映画『ナルニア国物語』シリーズタイプの作品。映画『300 <スリーハンドレッド>』のザック・スナイダー監督が初めて17歳未満でも鑑賞可能な血しぶきなしの映画を手掛けたいうことが映画ファンの間では話題になっており、スナイダー監督のファミリー映画という観点から、どのような仕上がりになっているのかちょっと気になる作品だ。映像美はさておき、フクロウが主人公ということで、興行収入的には果たしてどこまで一般客、そしてボックスオフィス・アピールにつながるかが焦点となるだろう。(文・取材: アケミ・トスト/Akemi Tosto)