世界のインディペンデント映画の祭典、レインダンス映画祭で開幕チケットを即売り切れにしたバンド
現地時間9月30日夜、第18回レインダンス映画祭でドキュメンタリー映画『オール・アイ・エヴァー・ウォンティド / ALL I EVER WANTED』(原題)のヨーロッパ・プレミアが開催された。上映後、本作のメインとなったアメリカのオルタナティブ・バンド、エアボーン・トクシック・イベント(以下ATE)が登場、ジョン・デノヴィック監督とともに質疑応答した。
この後、イギリス・ツアーが予定されているATEは、前日の映画祭開幕パーティでライブも披露している。パペット・アニメーション映画『ジャックブーツ・オン・ホワイトホール / Jackboots on Whitehall』(原題)上映とパーティのセットで販売された開幕チケットが完売したのは、ATEの人気も手伝っているようだ。
ライブには定評があるATEの魅力を十二分に伝える本作、質問もバンドに集中した。影響を受けたミュージシャンという質問にメンバーそれぞれが答え、司会者に「ジョンも答えるかい?」と問われると「おれが関係ない質問だな」と、ぼやいていたデノヴィック監督、ようやくカメラワークについて質問が出ると、それまでの無口から一転、饒舌に語った。
真ん中に陣取ったバンドのヴォーカリスト、ミケル・ジョレットはフロントマンの面目躍如、観客を沸かせた。「なんか、お堅いラジオ放送かなんかみたいじゃないか?やはり労働党は……」と政治談議番組の物真似で監督の暗いしゃべりをおちょくり笑わせたかと思うと、途中トイレに立つほどのリラックス・ムード。戻ると客席に座って「映画に出るのって、どんな感じですか?」と、にわか質問者に。
歌声を聞かせずとも楽しませるエンターティナーぶりは、本作中でもうかがえる。ジョレットの故郷でのライブの模様が中心となった本作、地元小学校の少女合唱団や高校のブラス・バンドとのコラボも見せ場の1つだ。アコースティックなサウンドと上手く絡んで盛り上げるATEの実際のライブを見たくなる音楽ドキュメンタリーとなっている。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)