衝撃の実話!殺人罪で服役する兄の無実を信じ弁護士になった妹!ヒラリー・スワンクが熱演
現地時間10月15日夜、第54回ロンドン映画祭で開催されたヨーロッパ・プレミアに先立ちトニー・ゴールドウィン監督映画『コンビクション/Conviction』(原題)の会見が行われた。本作は殺人罪で服役する兄の無実を信じ弁護士になった妹の実話が基になっている。会見には、主人公ベティ・アン・ウォーターズを演じたヒラリー・スワンク、兄を演じたサム・ロックウェル、主人公の友人役のミニー・ドライバー、ベティ・アン・ウォーターズ本人が登場した。
「わたしにとって、これは兄と妹のとても美しいラブストーリーだわ。ベティはヒーローよ」と言うスワンクは、見るものを共感させずにはおかない力の入った演技を見せている。壊れた家庭で助け合って生きる子ども時代をすごした兄と妹の強いきずな、兄を信じる気持ちが主人公をどれだけ強くしたかをしっかり伝えている。
「ヒラリーがこの映画を引っ張っていってくれた。ほかにはいない女優だよ」とロックウェルが言えば、「一緒に演じるのが楽しかった」とドライバーも称える。それに対してスワンクも「あなたたち(の演技がすばらしいこと)がわたしのハードルを高くしたのよ」と返す。無邪気にも、凶暴にも見える兄をロックウェルがうまく演じていることでスリリングな話になっており、主人公を支える友を演じるドライバーは映画に暖かいものを添えている。ほかのキャストもそれぞれがはまり役で、兄のガールフレンドを演じるジュリエット・ルイスの荒んだ様子なども圧巻だ。
「親になるということは興味深いことだわ。息子の身に起こったらと思うと、あまりにむごすぎる」とドライバーは身近に引き寄せて考えたという。「冤罪(えんざい)について、もっと目が向けられることを願うわ」とスワンク、「たくさんの無実の人が獄中にいるという事実があるから、演じるにも神経を使ったよ」とロックウェルも言うように、アメリカの司法制度や取調べが公正であるのかなど、多くの問題を投げかけるものにもなっている。刑務所についてリサーチしたというロックウェルは「ヒラリーが、もっとすごくリサーチしていたことも知ってるよ」とそれぞれが現実に起こったことを映画化するにあたっての責任を感じていたようだ。「でも、ただの被害者というようには、みな演じていない」というロックウェルの言葉通り、不条理を感じさせる制度にも負けない人々の信頼と強さの方が印象付けられる。
「兄がこれを見たらと思うわ。『よう、どうだい?』なんて、ここにいるみんなに言って回るような兄だったわ」と今は亡き兄を語るウォーターズが映画の感動にさらなる感動をプラスしてくれた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)