ドラえもんを外国人がリメイクするような難しさ!日本製「チェブラーシカ」ロシアで初上映し異例の大反響!
14日(現地時間)、ロシアで最も愛されている人形アニメーションを日本人監督のもと27年ぶりに製作した「チェブラーシカ」の新作がロシアで上映され異例の前売り券完売と観客による大喝采という成功をおさめた。ロシアの劇場関係者によるとロシアでは映画の前売り券を買うという行為が定着しておらず、今回のように500人規模の映画館で前売り券が売り切れるのは異例中の異例とのこと。
「チェブラーシカ」は、ロシアの作家エドゥアルド・ウスペンスキーによって発表された童話「ワニのゲーナ」を基にロマン・カチャーノフ監督がいままでに4作を製作。ロシアの国民的キャラクターへと成長していった。しかし1983年の「チェブラーシカ学校へ行く」を最後に新作が作られることはなく、27年間の時を経て日本の中村誠監督とロシア人の美術監督によって韓国のアニメーションスタジオで27年前のパペットを忠実に再現しつつオリジナルキャラクターも加えオリジナル脚本で挑戦するという試みを行った。
これはロシア人が日本のドラえもんをリメイクするような難しさで、製作陣だけでなくロシアの一般大衆は当初「われらがチェブラーシカ」を日本人が製作することに大反対! 実は27年間リメイクの話が出なかったわけではなく、数々のリメイク話は持ち込まれていたがことごとく実現には至らなかったと製作関係者は明かした。しかし今回、オリジナル版製作スタッフの一人であり世界的に有名なアニメーション監督ユーリー・ノルシュテインの推薦で今回のプロジェクトに参加したミハイル・アルダーシンは、ロシアでの「チェブラーシカ」プレミア上映を前に「ロマン・カチャーノフ監督の映画以来、いろんな方が続編を作ろうとしていたがついに日本人が成し遂げました。日本人はとても勤勉だったので一緒に仕事をする日々は幸せでした」と語り、この27年ぶりのリメイク作品への満足を表した。
また、一歩間違えば、ロシア一般大衆を敵に回しかねないという大役を引き受けた中村誠監督は製作スタッフ一人一人の名前を読み上げ感謝の意を伝えるという細やかな気配りを見せた。実は製作中、数々の意見が衝突したらしいが、出来上がった作品の質の高さにそれらはすべて洗い流されたようだ。
記者会見は1時間の予定が2時間半に延びるという白熱ぶりで、質疑応答というよりはさまざまな思いがマスコミや製作陣から語られ、チェブラーシカという作品の奥の深さを感じずにはいられない会見となった。ロシアのマスコミからは「金儲けにどれぐらい期待しているのか」との失礼な質問も飛んだが、中村監督はおだやかに「この名作の寿命を延ばしたかったというのが一番の目的です」と答え周囲を納得させていた。ちなみに中村監督はボクシングやグレイシー柔術をたしなむ武闘派なのだが、驚くほど、ものごしがやわらかい。
上映後に主にロシアの子どもたちから感想を聞き取ったときの目の輝きが何よりも答えになっており、製作陣は成功をかみ締めていた。アニメ映画監督のユーリー・ノルシュテインは、「今日の出来事は実に素晴らしいことだ。アニメという世界を越える出来事で、あるいはわが国において、アニメに対する態度にさえ影響する可能性がある」と日本製『チェブラーシカ』の影響力の大きさを語っていた。