ヴァンパイアが世界を支配『デイブレイカー』イーサン・ホークですべてが変わった!双子監督が激白
映画『トレーニング デイ』のイーサン・ホークと映画『アンチクライスト』のウィレム・デフォーが共演した話題作『デイブレイカー』について、監督のマイケル・スピエリッグとピーター・スピエリッグが語った。
同作は、ヴァンパイアによって世界が支配されている2019年。人類は絶滅寸前で、ヴァンパイアに必要不可欠な人間の血液も底をつきかけていた。そんなときに、自らもヴァンパイアである血液研究者のエドワード(イーサン・ホーク)は、人類の生き残りのライオネル(ウィレム・デフォー)とオードリー(クローディア・カーヴァン)と出会い、彼らによってヴァンパイアと人類の双方を救済できる驚くべき手段を知ることになるが、その時すでにヴァンパイアと人類は全面戦争に突入してしまっていた……。
双子である二人が、共同監督を務めたことについて「撮影前には(脚本の執筆段階で)、お互いがけんか腰になることもあったが、撮影中は全く言い争いがなく撮影ができたんだよ」とピータが答えると、すぐにマイケルが「それは、僕らが十分に準備をしていたからなんだ。まず、僕らは絵コンテを書き、すぐにそれをアニメティックス(絵コンテのものをアニメ化して、映像で動きを見せて分かりやすくしたもの)にしたんだ。だから、頭の中に映像ができていたから、セットでは全く混乱がなかったんだ。実際の撮影もわずか40日で行い、ピーターがイーサン・ホークとウィレム・デフォーのシーンを撮影しているとき、僕はサム・ニールとイザベル・ルーカスの撮影をしていたんだ」と兄弟で上手く仕事を分担して撮影していたことを語った。
イーサン・ホークのキャスティングについてピーターは「彼が出演したSci-Fi映画『ガタカ』を観たことがあって、実際にこの映画の脚本を書き始めたときには、イーサン・ホークのようなタイプの俳優がこの映画に相応しいとは思っていたんだ。それは知性があって、繊細で、さらにアクション・ヒーローもできる俳優ということなんだ。もちろん、イーサン・ホークのキャスティングは無理だと思っていたが、駄目もとで彼に脚本を送ってみたんだよ。ところが驚いたことに、彼にニューヨークに呼ばれて、その会合の席ですぐに出演することを承諾してくれたんだよ」と興奮気味に述べた後、さらに「すると、これまでとは違って、急に僕らの映画に対する人々の態度が変わり始めていき、さらにウィレム・デフォーやサム・ニールまでも参加してくれて、より本格的な作品になっていったんだ。だから僕らは、イーサンには大きな借りがあるんだよ」と付け加えた。一人の知名度のある俳優の出演がきっかけで、素晴らしい作品に仕上げることができたようだ。
影響を受けたホラー作品についてマイケルは「個人的にはホラーだけじゃなく、どんなジャンルの映画も好きなんだ。ただ、この作品はホラー映画というより、むしろSci-Fi映画だと思っている。特に僕が大きな影響を受けたのが、映画『スター・ウォーズ』シリーズとデヴィッド・クローネンバーグで、特にクローネンバーグはこれまでで一番好きな監督なんだ。その他にジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』なども好きだね」と語り、一方ピーターは、彼ら二人がこれまで製作してきたオセアニア地域のフィルムメーカー、ピーター・ジャクソンやジョージ・ミラー、ピーター・ウィアーの名前をを挙げてくれた。
映画は、演技派の俳優が揃って個性的な演技を披露し、さらに映像では見事な暗黒の世界が繰り広げられている。また、イーサン・ホークがヴァンパイアで、ウィレム・デフォーが人間という設定が、人々が思い描くイメージとは逆転していて面白い。今後のこの兄弟の活躍にも期待したい。
(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)