加瀬亮&南果歩、ノロウイルスで欠席した熊切和嘉監督の話題で盛り上がる!
18日、映画『海炭市叙景』初日舞台あいさつが渋谷ユーロスペースにて行われ、出演者の加瀬亮、南果歩、竹原ピストル、三浦誠己、山中崇、あがた森魚が登壇した。
本作は、原作者・佐藤泰志の故郷であり、劇中の舞台となる“海炭市”のモデルとなった、函館の市民の人々によって企画され、町の人々の多大な協力のもとに冬の函館で撮影された作品。函館市民と東京からのスタッフ&キャストとの熱いコラボレーションによって生まれた本作が無事に初日を迎えたこの日、登壇者全員が感無量の様子で晴れやかな笑顔を浮かべていた。
ところがあいさつの冒頭、なんと熊切和嘉監督がノロウイルスにかかり欠席するとのアナウンスが。本人不在の中、撮影時の監督についてキャストたちが思い出を次々に披露することに。今回初の父親役で、うまくいかない仕事や子どもを虐待する妻にいら立ちを募らせていくキャラクターを演じている加瀬は「熊切監督とは7年前にも『アンテナ』という作品で一緒に仕事をしているけど、いつも役者の近くにいて見つめてくれる方。自分もそんな監督に応えようと、意識していないところで自然と体が動いていくところがあります」とコメント。また、劇中で小林薫と関係が冷めきった夫婦を演じた南は「自分たちの撮影シーンが終わるころ、監督が徐々に次の加瀬亮さん演じる家族の撮影シーンにシフトしていく姿を見て、自分たちは終わっていく夫婦だと思ってさみしい気持ちになりました(笑)」とちゃめっ気たっぷりに当時を振り返り会場を沸かせた。
最後に、熊切監督からの手紙が司会者によって読まれ、「企画段階では、実現したら奇跡だと思っていたが、大勢の人の力によって形となり、こうして無事に初日を迎えられたことを本当にうれしく思っています。自分にとっても転機となった作品です。みなさんが劇場を出た後も、海炭市の人々に思いをはせてくれたら、作り手としてこれ以上の幸せはありません」と読み上げられると、会場は一層の温かな空気に包まれていた。
『海炭市叙景』は5度芥川賞候補に挙がりながら、41歳で自殺した作家・佐藤泰志の遺作を映画化したオムニバス作品。北海道・函館をモデルにした架空の地方都市を舞台に、さまざまな事情を抱えた人々が必死に生きる姿を描く。第12回シネマニラ国際映画祭で、グランプリと最優秀俳優賞をダブル受賞している。
映画『海炭市叙景』は全国公開中