3D映画の劇場最前線!5つの方式からベスト・ワースト3D映画までギモンを解決!
『アバター』の大ヒットで幕を開けた映画界は、3D映画が花盛りの1年を送った。でも、かつての飛び出し系3Dと『アバター』に代表される今の3D映画は、どこが違うのかよくわからないという人も多いはず。そこで、今さら聞けない3D映画に関する基礎知識をギモンに答える形で追ってみた。
Q:新宿ピカデリーで『アバター』を観たのですが、メガネが重いし映像も、メガネを外したときよりメガネを掛けたときの方が暗く感じました。劇場によって、映像の見え方が違うということはあるのでしょうか?
A:まず、3Dの上映システムによって異なります。その他、デジタルプロジェクターからスクリーンまでの距離、プロジェクターで使用しているランプの輝度によっても違ってきます。
Q:3D映画の上映システムには、どんな方式がありますか?
A:XPAND、 RealD、Dolby 3D、masterimage3D、IMAX 3Dの五つです。そもそも3D映画は、右目用と左目用の映像を高速で交互にスクリーンに映し出し、メガネを使って観客には片方ずつしか見せなくすることで立体的に感じさせます。XPANDのメガネには液晶シャッターが搭載されて電池で動きます。シャッターが片方ずつ閉じたり開いたりして、右目と左目交互に映像を見せます。他の方式は、メガネに特殊なレンズを入れたり、3D専用のスクリーンを使うことで、右目と左目の交互に映像を見せています。RealDと masterimage3Dのメガネは持ち帰り可能ですが、他の方式は返却します。
新宿ピカデリーはXPAND方式で、シネコンチェーンの109シネマズやTOHOシネマズ、MOVIX(新宿ピカデリーと同じ松竹系)などが導入しています。液晶シャッターと電池が入っているので、そのぶんメガネが重くなります。
Q:どの劇場で観るのがお勧めですか?
A:映像の迫力を求めるのならIMAXがお勧めです。スクリーンが大きく、映像が鮮明。ただし全国に9か所しかなく、料金は一般2,200円。ファーストデイや レディースデイなどの割引サービスが適用されません。割引サービスがあり、全国的に利用しやすいのがRealDです。シネコンチェーンのワーナー・マイカ ル・シネマズやユナイテッド・シネマなどが導入しています。メガネが軽く、子ども用メガネや眼鏡の上に装着できるメガネも用意されています。
Q:2011年に期待できる3D作品を教えてください
A:『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』と『トランスフォーマー/ダーク・オブ・ザ・ムーン(原題)』です。『パイレーツ~』は大海原やジャングル、『トランスフォーマー~』はシカゴの街並みを3Dカメラで撮影しているので、その分臨場感が増しているのではないかと期待しています。
Q:最近の3D映画でワーストのものを教えてください
A:ワースト作品は『エアベンダー』。後付け3D映画です。炎や水をあやつって戦うVFXのシーンはそこそこ立体的に見えましたが、あとは2D版と同じ。背景を3D変換していないんじゃないかな。映画関係者は3D変換映画を「なんちゃって3D」と揶揄(やゆ)していますが、2010年の3D映画は『アリス・イン・ワンダーランド』『タイタンの 戦い』『キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争』など「なんちゃって」だらけ。3D映画は通常料金より300円~400円割高になるので、怒りも増します。
Q:最近の3D映画でベストのものを教えてください
A:3Dとして評価できる作品はCGアニメに多いですね。『トイ・ストーリー3』『ヒックとドラゴン』『怪盗グルーの月泥棒 3D 』と、どれもよかったです。『カールじいさんの空飛ぶ家』も良かったけど、この3本は臨場感が増していた気がします。CG技術の進歩や3Dを効果的に見せるノウハウが蓄積されたんでしょうね。中でも『怪盗グルー~』は良かった(ストーリーはシンプル過ぎますが)。ベスト作品はIMAXの『アバター』。1度目はXPANDで観たんですが、そのときに気付かなかった細かい部分までクリアに観えて、衛星パンドラの世界がすぐそこに感じられました。(文/相良智弘・構成/今祥枝・シネマトゥデイ記事より )