ありがとう、恵比寿ガーデンシネマ!映画ファンに見守られ17年の歴史に幕
28日、個性派ミニシアターとして映画ファンに愛されてきた恵比寿ガーデンシネマが最後の営業日を迎えた。1994年10月に映画『ショート・カッツ』で開館したのを皮切りに、世界各国の話題作を数多く上映してきた同劇場。最後の上映作品はウディ・アレン監督作『人生万歳!』と、ウェイン・ワン監督作の『スモーク』という恵比寿ガーデンシネマらしい秀作2本が並ぶというラインナップだった。
この日は、テレビやインターネットなどのメディアで休館が報道されたこともあり、多くの観客が来場。232席と116席の劇場はあっという間に満席となった。両劇場でおよそ90人近くの立ち見席を販売したものの、劇場に入りきれない人が続出し、無念そうに劇場を後にする姿があちこちで見えた。最終日に大盛況となった劇場の様子を見た関根高樹支配人は、「立ち見のお客様を含めて、両方のスクリーンで最後の上映を観ていただいたという、この瞬間を迎えたことは、スタッフ一同、感慨深いです。一つの劇場の歴史が17年だけということはとてもさみしいですが、いい映画館だったんだなと思います。17年間上映してきた劇場の重みをすごく感じます」とコメント。昨年、今年とミニシアターの閉館が相次いでいる現状についても「残った劇場は、それだけ素晴らしい劇場だということ。頑張ってほしいですね」とエールを送った。
その後、最後の上映作品である『スモーク』が終了すると、会場からは大きな拍手が。名残惜しそうな観客たちは、なかなか帰れずに、ロビーに貼られた歴代作品のチラシを眺めていた。本劇場によく通っていたという女性2人組は、「本当に残念です。また復活してほしい」と残念そうな表情。また、映画ファンだという男性は「今日、これだけお客が来るなら、普段も来てほしかったです」と無念さをにじませた。
そして、すべての客を見送った関根支配人は、スタッフに向かって「17年間、ありがとうございました。こういう形で終れたのはいい思い出です」とあいさつ。多くの映画ファンに見送られながら、恵比寿ガーデンシネマの幕を閉じた。なお、劇場調べによる同劇場興行収入ベスト10は以下の通り。
■恵比寿ガーデンシネマ興行収入ベスト10
1位:『ボウリング・フォー・コロンバイン』(歴代動員1位:10万5,186人)
2位:『スモーク』(歴代動員2位:9万54人)
3位:『モーターサイクル・ダイアリーズ』(歴代動員3位:7万3,931人)
4位:『リアリティ・バイツ』(歴代動員5位:7万1,816人)
5位:『ロッタちゃん はじめてのおつかい』(歴代動員4位:7万2,032人)
6位:『ショート・カッツ』
7位:『グッバイ、レーニン!』
8位:『17歳のカルテ』
9位:『セントラル・ステーション』
10位:『デッドマン・ウォーキング』