映画祭史上初?タバコを吸って高級ホテルから追い出された小林政広監督、またもやタバコでひと悶着?
小林政広監督『春との旅』が第40回ロッテルダム国際映画祭で招待上映されて現地時間3日、小林監督が舞台あいさつを行った。小林監督といえば2008年に同映画祭に参加したとき、全館禁煙の5ツ星ホテルで喫煙し、ホテルを追い出されたことで話題になったが、今回またも、タバコで一悶着を起こしていたことがわかった。
前回の反省から、今回は喫煙可能のホテルを映画祭側に事前通達していた小林監督。しかしホテルに到着してみると喫煙部屋は満室で、禁煙の部屋しか残っていない。今回は心おきなく一服出来ると思っていた小林監督のショックは大きく、ホテル側の不備を訴えて喫煙部屋を明け渡すように交渉したという。だが騒動が大きく発展。ついには映画祭ディレクターのルトガー・ウォルフソンがホテルに駆け付けて支配人に掛け合い、小林監督のみ特例で禁煙部屋でタバコOKの許可を得たという。小林監督の粘り勝ちだ。
いまやすっかり映画祭の“伝説の男”となった小林監督は、この日の上映でも司会者から「映画祭史上初、タバコを吸って高級ホテルから追い出されたゲストです」と紹介され、観客から爆笑された。小林監督は自ら今年のタバコ騒動の顛末を説明すると「おかげで今はタバコを吸えるようになって幸せです」と笑顔で心情を明かし、さらに観客の笑いを誘った。
映画は、老後の面倒を看てもらおうと祖父が孫の春を連れて姉弟の元を訪ね歩くロードムービー。本年度の毎日映画コンクールで日本映画優秀賞とスポニチグランプリ新人賞(徳永えり)を受賞しているが、この日の上映後も観客が次々に小林監督の元へかけより「ビューティフルな映画だった」、「何度も涙を流してしまいました」と口々に感想を述べながら握手を求めてきた。とりわけ小林監督の特集上映が2008年に組まれこともあって、その時に小林作品のファンになった人たちが数多く劇場に詰め掛けて来たようだった。
同作品は日本ではすでにDVD発売されているが、脚本に惚れ込んで出演した主演の仲代達矢は毎晩のように観賞しているそうで、小林監督も「もう40回は見たと言ってました。ボクより見てます(笑)」と照れ臭そうに報告していた。(取材・文:中山治美)
映画『春との旅』のDVDは発売中