3D映像化の波は記録映像にも!ショーヴェ洞窟、ダンスまでも!
第61回ベルリン国際映画祭
ベルリン国際映画祭に3Dの波が押し寄せている。第61回となる今回のコンペティション部門に3Dアニメ映画『テールズ・オブ・ザ・ナイト(原題)/ Tales Of The Night』が選出されているほか、ドイツの2人の巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督とヴェルナー・ヘルツォーク監督の3D作品も上映された。
ヴェンダース監督映画『ピナ(原題)/ PINA』は舞踏家ピナ・バウシュをメインにしたダンス・ドキュメンタリー。ピナにかかわる踊り手たちのダンスやコメントからピナその人が浮かび上がってくる。ヴェンダース監督は製作の動機を「正確にものを見るピナの眼差しに感銘を受けた」と話す。登場する踊り手たちも「奥まで見透かされてしまう」と表現するピナの目だ。ヴェンダース監督は「ほんとうはピナといっしょに作るはずだった。それが突然亡くなってしまって、いつも存在を感じながら撮っていた。『これでいいかい?』とピナに聞きながら作っていた気がする」と製作当時を振り返る。
ヴェンダース監督が主に動きを表すために3Dを使っているのに対し、ヘルツォーク監督映画『ケイブ・オブ・フォーガトン・ドリームス(原題)/ Cave of Forgotton Dreams』は空間を表すのに3Dが効果をあげている。最古の壁画が発見されたショーヴェ洞窟を撮った本作はナレーターも監督自身が務める。3~4万年前に描かれた元の絵に数千年後に書き加えられた部分もあるという、気の遠くなるような時をかけて作り出された壁画を「時代に閉じ込められた我々とは違う」と紹介するナレーションや、「静かに。地底の音を聞いてください。あなた自身の鼓動も聞こえます」と洞窟を案内する学者の言葉が、科学ドキュメンタリーを超えた壮大なロマンを感じさせる。
また、現地で発行されている映画祭専門誌には『バトル・ロワイヤル3D』も大きく取り上げられており、3Dが各所で注目されているベルリンだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)