原因不明の病気から奇跡的復帰を遂げたアイリッシュ・ダンスのマイケル・フラットレーが、日本の地震の被災者にエール!
ビデオ化された「リバーダンス」や「ロード・オブ・ザ・ダンス」でアイリッシュ・ダンスを世界中に広めてきたダンサー、マイケル・フラットレーが、新作映画『ロード・オブ・ザ・ダンス・イン 3D(原題) / Lord of the Dance in 3D』について語り、さらに日本の地震についてもコメントを残した。
同作は、世界中を虜にしてきたアイリッシュ・ダンス・エンターテインメント、「ロード・オブ・ザ・ダンス」のマイケル・フラットレーが、アイリッシュ・ダンスのルーツであるダブリンに戻り、そこで数日間の公演を行ったものを3Dで撮影した作品。観客と一体になった臨場感溢れる撮影とダンスが見所だ。
マイケルは2006年に原因不明の病気を患い、長い間体を思うように動かすことができなかった。「おそらく、40~50人近くの医者に診察してもらい、あらゆる悪性のウィルスとなる可能性のあるものを除去したが、医者たちはなぜ僕の体が動かなくなってしまったのか、その理由が全く分からなかったんだ。実はそれから、およそ8か月間もうつ伏せのままの状態で暮らしていて、外出もできなかった……」と絶望的な状態だったそうだが、「ある日、エネルギー回復療法を行う人物を紹介されたんだ。もちろん、これまでダンスのマッサージ師はいたが、こんな経験は初めてで、その人はなんと僕の体に触れずに30分間もその療法を行ったんだ。それが、あまりに気持ち良くて、気付かぬうちに2時間も寝ていたほどだった。そして起き上がってから、なんと約1マイルも歩くことが可能になり、徐々に気分が良くなっていって、今では完全な回復を遂げることができたんだ」と奇蹟的な回復を語った。マイケルは今でも、まるで20代のダンサーのように踊っている。
今回3D映画として撮影したのは「これまで何度か映画化する話を持ち込まれたが、そのたびに映画化には懸念していた。それは、あのエネルギーのある力強いステージの踊りを伝えることができないと思っていたからなんだ。あの感覚は、その場にいた人しかわからないと思う。だが、初めて最先端の3D技術が、僕を納得させることになった。今回、さらに大きなライトを使って、被写界深度を深めているんだ。ただ、あえてスタジオで踊って何度も撮り直しながら撮影することはせずに、ライブの舞台で観客とともに撮影することになった。それは、そこには(ステージに)真実があると思っているからなんだ」と自信作であることも明かした。
ダンサーとの関係について「幸福なことに、僕のもとには世界中の優れたダンサーがいて、常にハングリーな精神を持ってチャレンジし、新しいこともやってくれる。そんなダンサーが僕の周りにいることは、夢のようだとも思う。だが、僕は仕事中毒で、自分にも厳しくしながら仕事している。すると、そこで重要となるのは人間関係を決して見落とさずにいることだ。それは、僕の立場からダンサーを見下したり、彼らの感情や夢を無視してしまうと、失敗することにつながるからだ。だから、彼らダンサーをできる限りのサポートをしながら、ダンサーを輝かせてあげるのも僕の重要な仕事だ」と述べた。
最後に、東日本大震災について「僕はロンドンで妻とこの惨事を写真や映像で見ていたが、自然がもたらす力には、人間は無力であることを痛感させられた。多くの人の人生が失われたことは非常に悲しいことだ。これからどうやって瓦礫を除去し、人々を家に戻せるか全く想像できないが、そんな状態にいる中で、多くの人が落ち着いた状態で、皆で協力しながら行動していることには感心させられる」と語ってくれたマイケルは、さらに2002年のサッカーのワールドカップに訪れたさいも日本人の対応の仕方を通して、日本人は温かく友好的で、とても決断力のある知的な印象を受けたと語った。
奇跡的な回復を遂げ、現在52歳でまだまだリーダーとして躍動感のあるダンス踊り続けるマイケルに、ある意味で超人的な体力と精神力を感じた。今、我々に日本人にもそういった体力と精神力が必要なのかもしれない。
(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)