福島県出身の三瓶、地震から原発事故へ家族がさらされる恐怖を語る「僕には大金は無理…」募金呼びかけ
東日本大地震の被災地である福島県出身のお笑い芸人、三瓶が、悲劇の起こった地元への想いを語り、被災地の人々への募金を呼びかけた。
地震が起きた3月11日、昨年の9月に膝の手術をしたばかりだったという彼は、自宅でリハビリ中だった。「膝に重りを載せたリハビリの最中だったので、びっくりしたし、とても怖かったです」と、生まれて初めて体験した大地震の恐怖を語った。テレビをつけ、震源が東北であることがわかると、真っ先に浮かんだのは福島にいる家族の安否だった。今回の地震で多くの人々が体験したと思うが、携帯はまったくつながらず、不安でいっぱいの夜を過ごした。翌日、東京に住む2番目の姉から、両親の無事を聞いたときは「全身の力が抜けた」という。1番目の姉の家は全壊だった。電話がつながらないため、メールでの連絡でお互いを励まし合ったが、2日目にようやく両親と話せた。「大変だったと思うけど、意外にも明るい声を出していて、ほっとした」。
大きな地震に続いて、故郷の福島を原発事故の恐怖が襲いかかった。連日、テレビで報道されるふるさとの惨状に、「東京に来る前、学校に通い、平穏な日々を過ごしていた町が、あんな風になってしまうなんて……」。むき出しになった原発、変わり果てた街の姿に言葉を失い目を疑った。
昨日、福島から両親と、甥っ子と姪っ子が来たという。甥たちの親である姉夫婦は、まだ現地にとどまり、復興作業をしているそうだ。「8歳の姪が小さな余震にもすごく怯えるんです。小さな子どもたちの精神的なダメージも深刻だと思う」と語る。
「いま自分にできることは、皆さんと同じ。節電や、募金、少しでも被災地の力になれるようにやれることをやっていきたい」という。そしてお笑い芸人としても、「皆さんご存じのように、ぼくはあまり笑いをとれない芸人です。でもぼくは笑顔を届けていけるように頑張りたい。こういうときは気持ちが弱くなってしまうんです。でもぼくは両親の明るさに、ぼくは救われました。こんなときだからこそ、前向きな気持ちになれるよう、芸人として頑張っていきたい。被災地の皆様が、一日でも早く明るい生活を取り戻せるよう祈っています」と話した。
三瓶が新喜劇の舞台に立っているルミネtheよしもとは、3月は一時休演した。「吉本のお給料は歩合制なので、今月はお金がなくて……。ほかのたくさんの芸能人の皆さんのように1億円とか、大きな額は僕には出せませんが、わずなばかりでも募金していきたいと思います。皆さんもぜひ、募金をよろしくお願いします」とふるさとへの想いを胸に被災地への募金を呼びかけた。ルミネtheよしもとでは、劇場ロビーで東北地方太平洋沖地震募金を今日から行っている。(編集部・森田真帆)