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ジブリ最新作『コクリコ坂から』会見に宮崎吾朗監督と宮崎駿が登壇 節電のためにマイクを使用せず

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計画停電による遅れの中、製作は進んでいる。-宮崎吾朗監督、武部聡志、坂田晃一、手嶌葵、万里村ゆき子、宮崎駿監督
計画停電による遅れの中、製作は進んでいる。-宮崎吾朗監督、武部聡志、坂田晃一、手嶌葵、万里村ゆき子、宮崎駿監督

 スタジオジブリ最新作『コクリコ坂から』の主題歌発表記者会見が28日、東京・小金井市のスタジオジブリで行われ、手嶌葵が歌う「さよならの夏~コクリコ坂から~」が本作主題歌に決定したことが発表された。手嶌がスタジオジブリの映画主題歌を歌うのは、映画『ゲド戦記』に続いて2度目。会見には手嶌をはじめ、メガホンを取る宮崎吾朗監督、主題歌作詞の万里村ゆき子、主題歌作曲の坂田晃一、主題歌編曲・音楽担当の武部聡志、そして企画と脚本を手掛ける宮崎駿が出席した。

 この会見で注目を集めたのは、やはり宮崎駿が11日に発生した東日本大震災について、どのような言葉やメッセージを発するかだった。これまで自然と人間、そして文明論を作品で描き続けた宮崎駿は、大地震や原発事故など、現在の日本が直面する未曾有の危機をどのように見つめているのか? 地震以前からこの日に行われる予定だった会見は、節電のためにマイクを使用せず、また出席者の希望により会見中の写真撮影は一切NGという緊迫した雰囲気の中行われた。宮崎駿も「今日、会見を開くことがいいのかどうか迷ったが、あえてやろうと思った」と複雑な胸中のようだ。

 それでも「この作品が時代の変化に耐えられるのか。それが最大の関心事。(企画・脚本なので)仕上がりはよくわからないが、この企画は間違いではなかったと思っている」と自信を深める宮崎駿。「はやっているものをやらないのが、ジブリの誇り。郵便配達の人が郵便を届け続け、バスの運転手が渋滞の中で運転を続けている。だから僕らは映画を作る」と力強く語ると同時に、「今は高所から文明論を軽々しく語るときではない。今も原発で作業する人たちなど、多くの犠牲に感謝と誇らしさを感じる」とこうした苦境にあって、映画製作を続けることができることに感謝を述べた。また、「風評被害や乳幼児への水の問題には配慮しなければいけない。だけど、僕と同じ年齢の人たちが行列を作って水を買うのはもってほか。人民の愚かさもマスコミは糾弾してほしい」と“宮崎節”で苦言を呈する場面もあった。

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 被災地への復旧支援に関しては「鈴木(敏夫)プロデューサーを通して、できる限りのことはしている。感傷的にお金を送るのではなく、一番必要な場所に、一番必要なものが届くようにしたい」(宮崎駿)。会見後に取材に応じた鈴木プロデューサーも、スタジオジブリとして支援に動いていることを認める一方、「具体的な内容はあえて公表することはやめました。公表することで、(支援策が)一人歩きしちゃうのがつらい」と語った。

 また、制作は計画停電を想定した進行を余儀なくされており、具体的にはコンピューターを使う作業は、夜に行っているのだとか。「夜の作業は、はかどらないんですよ。だから地震の影響は多大です。進行の現状? 全体の50パーセントくらいかな。本来なら70パーセントは出来上がっていてほしかったが……。それでも、公開日に公開するのが、僕らのできることであり、責務。何とかやります!」とプロデューサーらしい頼もしい発言で、現場を鼓舞。宮崎吾朗監督は「映画や歌が僕たちを支えてくれるように、僕らが震災に遭われた方々の支えになれれば」。手嶌は「被災された方にどんな言葉をかけたらいいのか、今はよくわからないが、一緒に手を握り合い、前に進んでいければ」とあいさつすると、次の瞬間、大粒の涙を流す場面も。また、手嶌が主題歌を生演奏し、その透明感あふれる歌声に、宮崎駿が涙を流していた。

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 映画『コクリコ坂から』は少女漫画雑誌「なかよし」に連載された同名コミック(作画:高橋千鶴、原作:佐山哲郎)を宮崎駿が企画・脚本、宮崎吾朗監督が『ゲド戦記』以来2度目のメガホンを取って映画化するスタジオジブリの最新作。1963年ころ、横浜を舞台に高校2年生のヒロイン・海が、父親を海で亡くすという苦境を笑顔で乗り越え、恋や青春を経験する姿を描く。

映画『コクリコ坂から』は7月16日より全国東宝系ロードショー

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