全国映画館スタッフが選ぶ映画館大賞2011は中島哲也監督『告白』に 『アバター』『トイ・ストーリー3』『インセプション』超える
5日、映画館大賞2011が発表され、中島哲也監督の映画『告白』が、『アバター』『トイ・ストーリー3』『インセプション』などの洋画を抑え、堂々の1位に輝いたことがわかった。2009年から始まり、今年で3回目を迎えた映画館大賞は、北は北海道から南は沖縄まで、全国130館の独立系映画館スタッフの投票によりスクリーンで観てほしい映画のベストテンを決める映画賞。2009年12月から2010年11月末日までに公開された作品の中から、今年も映画興行収入ランキングや各国映画賞に惑わされない独自の視点で選ばれた作品が、ベストテンに名を連ねた。
映画館大賞2011に選ばれたのは、洋画興行ランキング1位だった映画『アリス・イン・ワンダーランド』でも、邦画興行ランキング1位だった映画『借りぐらしのアリエッティ』でもなく、映画『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督がメガホンを取り、松たか子が主演を務めた映画『告白』。湊かなえの同名小説を映画化した本作は、教え子にまな娘を殺された中学校教師の復讐(ふくしゅう)劇を、中島監督らしい独創的なタッチで映画化。第34回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、第83回米国アカデミー賞でも外国語映画賞最終選考の9作品に残る快挙を成し遂げた中島監督の手腕が、映画館大賞でも高評価を得る形となった。
2位は、俳優としてキャリアを積んできた俳優ヤン・イクチェンが、監督デビューを飾った韓国映画『息もできない』。ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード(グランプリ)をはじめ各国映画祭で絶賛されてきた共に暗い過去を持つ借金取りと女子高生の心の交流を描いたストーリーは、映画館スタッフの心にも響いたようだ。また、3位、4位、5位には映画『アバター』『トイ・ストーリー3』『インセプション』と各国映画祭をにぎわせたハリウッドの大作映画が名を連ね、6位には第34回モントリオール世界映画祭で深津絵里が最優秀女優賞を受賞し話題をさらった映画『悪人』がランクインする結果となった。
また同賞では、映画『トウキョウソナタ』の黒沢清監督と女優の夏木マリが選定した特別部門「あの人の1本」と、リバイバル上映された旧作のうち最も鮮やかによみがえった1作を決める「蘇る名画」も発表。黒沢監督は、映画館大賞2011の7位にもランクインしたSF映画『第9地区』を自身の1本に選定し、夏木は製作に人気俳優のガエル・ガルシア・ベルナルも参加したケイリー・ジョージ・フクナガのロードムービー『闇の列車、光の旅』を選んだ。また、映画評論家の山根貞男が選んだ「蘇る名画」には、ラピュタ阿佐ヶ谷にて上映された映画『骨まで愛して』が選ばれた。「2010年を象徴する映画」として、3位にランクインした『アバター』の名も挙げられた同映画賞。ベストテンにランクインした作品の中で3D映画は、たった2作品だったが、2010年『アバター』によって3D映画に革新が起こったことは間違いない。来年の映画館大賞の結果には、どれほど3D映画が進出してくるのか、映画館大賞を通して、この1年間に封切られた映画を振り返ると、これからの1年間で公開される映画への期待も高まりそうだ。(編集部・島村幸恵)
映画館大賞2011ベストテンは以下の通り。
1位『告白』
2位『息もできない』
3位『アバター』
4位『トイ・ストーリー3』
5位『インセプション』
6位『悪人』
7位『第9地区』
8位『オーケストラ!』
9位『十三人の刺客』
10位『瞳の奥の秘密』