元キャンディーズ、女優の田中好子さんが55歳で死去 『黒い雨』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞も
伝説のアイドルグループ、キャンディーズのメンバーとしてスーちゃんの愛称で親しまれ、解散してからは女優として活躍していた田中好子さんが21日乳がんで亡くなったと、夫の小達一雄さんが都内で行われた記者会見で公表した。小達さんによると田中さんは1992年に乳がんを発病、治療していたが昨年10月に再発し入院、今年の2月に入ってから再び体調が悪化し、本日の夜亡くなったという。4月8日に誕生日を迎えたばかりで55歳だった。
田中好子さん『ありがとう』インタビュー-被災しても命を貰ったら、わたしは生きていきます
田中好子さんは、引退コンサートが伝説となった伊藤蘭、藤村美樹とともに人気ユニット、キャンディーズでアイドルとして一世を風靡。1978年にキャンディーズが解散してからは、女優業に転身。1985年に公開された今村昌平監督の原爆の恐怖を描いた映画『黒い雨』で結婚前に放射能を含んだ黒い雨を浴びた女性を演じ、その演技が高く評価、ブルーリボン賞主演女優賞、日本アカデミー賞主演女優賞を獲得し女優として高い評価を得た。テレビドラマでも「家なき子」「ちゅらさん」などの好演が光り、主に母親役として年齢を感じさせない若々しいお母さん役で活躍していた。
阪神・淡路大震災で被災し60歳目前にしてプロゴルファーを目指した実在の人物・古市忠夫氏の活躍を描いた映画『ありがとう』で内助の功で夫を支える妻を演じたとき、田中さんはシネマトゥデイのインタビューで、ロケをしているときに見かけた阪神・淡路大震災で被災されたおばあさんのことを語ってくれたことがあった。田中さんはそのおばあさんが、「大阪に吉本を観に行くんや。衣食住がそろっても人間には夢が必要や。夢や希望がないと生きていかれへん」と言ったことが印象に残ったらしく、「実際に生き埋めになった方がたくさんいらしたことを考えると、生かされたわたしたちはその方たちのためにも、明日に向かって一生懸命、夢と希望を持って生きていかなきゃいけないんだと実感しました」と力強く語っていたことがあった。50歳を超えても年齢をまったく感じさせない美しくチャーミングな笑顔が印象的だった。心よりご冥福をお祈りいたします。