ジョディ・フォスターが、メル・ギブソンとの仕事を語る!
映画『告発の行方』や『羊たちの沈黙』で二度のアカデミー賞主演女優賞を受賞し、近年はプロデューサーとしても活躍しているジョディ・フォスターが、監督を務めた新作『ザ・ビーバー(原題) / The Beaver』について語った。
同作は、経営に行き詰まって鬱(うつ)病になったウォルター・ブラック(メル・ギブソン)が、ぬいぐるみのビーバー人形を会話する道具として、家族と職場の同僚とコミュニケーションを図り、徐々に鬱(うつ)病を克服していくというドラマ作品。ジョディ・フォスターは監督だけでなくウォルターの妻役を演じ、さらに映画『ターミネーター4』のアントン・イェルチンは、ウォルターの息子役で出演している。
メル・ギブソンを主演に決めたのは「彼は素晴らしいほど才能のある人よ。それにパワーがあって、賢く、面白く、チャーミングでもあるから、パペットのビーバー人形と会話することも問題ないと思ったの」と述べた後、さらに「わたしが知っているメルのプライベートな部分では、内面に深い魂を兼ね備えていて、苦悩についてもわかっているわ。だから繊細で生々しい箇所も演じられると思ったし、(映画内の)息子とのやり取りも上手くできると思ったわ」と長年の友人メル・ギブソンのことを良く知っているジョディだからこそできた選考だったのかもしれない。
腹話術について「人形を使っているけれど、腹話術とは違うの。あくまで手でパペットを操っているだけだから、腹話術のリサーチは全くしなかったわ。メルは、L.A.在住の人形劇のパフォーマンスをやっている人の指導を受けてトレーニングしていたの」と語った。映画内のキャラクター設定については「ウォルターは貴族みたいに金持ちだけれど、感情に飲まれていてヒドい状態なの。一方パペットのビーバーは、労働階級の自信に満ちあふれたリーダーで、感情も自分でしっかりコントロールできているの」と明かした。
ジョディは、この映画で女優兼監督に挑戦しているが、「女優と監督を共にすることは、人が思っているほど大変ではないの! なぜなら、監督として準備したことを、そのまま女優として当てはめていくことができるから。監督として自分が要求する演技がわかっているから、女優として演じやすいし、撮影も早くすませることができるわ。ただ、女優として必要な演技がわかっているから、逆にサプライズが無くなってしまうわね。それに、余分な撮影もしなくなって、後でもっといろいろ試して撮影しても良かったと後悔することもあるわ」とそれぞれ利点もあれば、欠点もあるようだ。
ほとんど質問が終わらないうちから、かぶるように彼女は早口で質問に答えていたにもかかわらず、言葉を選びながら喋っていたせいか、実に知性が感じられた。近年は子育てに忙しかったようだが、次回作にはロマン・ポランスキー監督の映画『カーネッジ(原題) / Carnage』が控えている。さらなる彼女の活躍が楽しみだ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)