アジカンの後藤、脱原発訴えバイオマスエネルギーを熱弁!「これからの時代は、原発よりも糞(フン)発だ!」
ロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン・カンフー・ジェネレーション)のヴォーカル&ギター・後藤正文が、渋谷ユーロスペースで映画『ミツバチの羽音と地球の回転』上映後、監督の鎌仲ひとみとともにトークショーに登場し、独自の自然エネルギー論を展開した。
本作は、1982年に山口県の田ノ浦に上関原発建設計画案が持ち上がって以来、25年以上もの間、反対運動を続ける祝島の人々と、自然エネルギーシフトに向かうスウェーデンのひとびとを追ったドキュメンタリー映画。上映後、東日本大震災以降、精力的にボランティア活動を続け、ツイッターなどを通してエネルギーシフトや原発問題に言及してきた後藤は、大震災が発生する3日前の3月8日に本作の舞台となった田の浦を訪れたことを話し、「僕は、これまでいろんなところをツアーしてきましたが、本当に美しいところでした。海のきれいさに度肝を抜かれました。あんなに美しい場所がなくなるのは残念です」と島の人々が25年に渡って守り続けてきた自然の美しさを絶賛した。
トークショーで、鎌仲監督から、「後藤さんはどうして、エネルギーシフトに興味を持つようになったの?」と聞かれた後藤は、「大学で、原発のことを知ったときは、なんてすごいエネルギーなんだ! って正直思っていたんです。でも、その後に、核廃棄物の存在を知った。核燃サイクルというのは、うまく回転しているように見えながら、捨てているものの質が悪すぎますよね。それから、どうすれば自然エネルギーを増やしていけるかを考えるようになり、鎌仲監督が核廃棄物処理施設を描いた『六ヶ所村ラプソディー』の六ヶ所村も訪れました」と話した。後藤のブログには、3月9日付で、田ノ浦訪問に感じた原発への思いが5,000字に及ぶ長文で語られている。この時点ではきっと多くの人が原発問題への関心がなかったはず。後藤はブログの中で、「何か深刻な事件が直接的な場所で起きない限り、生活が脅かされることはないですから」と語っているが、その2日後、東日本大震災が発生し、彼の言葉通り、日本人の価値観は根底から覆された。「3月11日以降、自分たちの生き方も、考え方も、本気で考え直さなければいけないって思うようになりました。自分たちの孫の世代に、原発をいっぱい作って死にやがってなんて言われたくない。だから今変えていかなきゃって思います」と独自の脱原発論を展開した。
後藤は、数ある自然エネルギーのなかでも、家畜糞尿をエネルギーに変えるバイオマスエネルギーに注目という。バイオマスと言うのは、これまで農作物の肥料として使われてきた糞尿を活用して、発電所を稼働させるもので、発電効率も優れており、無限に生まれる家畜糞尿や生ごみなどを環境に優しく処理できると、世界中に注目されている自然エネルギー分野だ。本作でスウェーデンの自然エネルギーシフトを目の当たりにした鎌仲監督も「スウェーデンは、バイオマスが石油エネルギーを超えているんです。バスは、人間のうんちとおしっこをエネルギーにしているんだから」とバイオマスには注目しているそう。目を輝かせた後藤が、「これほどの再生可能エネルギーはないと思います。僕は、これからの日本は原発から、糞発にして行くべきだと思う! みんなでうんちを回転させていきましょう!」と語りかけると、会場からは拍手と歓声が上がった。(編集部:森田真帆)