放射性廃棄物処理場がテーマの『100,000年後の安全』、ネット配信開始 今週末からは福島県でも上映
限定1館の緊急公開から始まり、現在は全国で公開されているドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』のダウンロード配信が、今月より開始されている。本作はフィンランドにある高レベル放射性廃棄物の建設現場を世界で初めてリポートしたもので、福島第一原発事故の渦中にいる日本人に、原子力発電の現実を突きつける作品だ。
4月2日より渋谷アップリンクにて緊急公開された本作は、今月よりアクトビラ、ひかりTVなど五つの配信業者が取り扱いを始め、今後も五つの業者が配信を予定している。詳細な情報に関しては、オフィシャルサイトで公開されている。また同サイトによると、当初は1館のみの公開だった本作の上映劇場は現在までに70館以上に。6月18日からは福島県での上映も予定しているという。
配給のアップリンク代表の浅井隆氏は、徐々に公開が拡大しつつあるとはいえ、「大手配給会社の娯楽作品のように全国津々浦々での上映ではないので、まだこの作品を観る事ができない人もたくさんいると思います。また、映画館のない地域に住まれている方もいると思うので」と現状を踏まえ、異例ではあるものの、現在公開中の映画のダウンロード配信を決断。浅井氏はさらに「このフィンランドの原発から出る放射性廃棄物を処理する方法の映画を観て、日本の現実と比較して、10万年という気の遠くなる時間とまでいかなくても、せめて次の世代に生きる子供達の事を想った行動をとる人が増える事を願います」とコメントを締めくくっている。
原発への関心は日に日に高まりつつある。テレビや新聞でも原発をめぐる議論やデモは大きく取り上げられ、福島第一原発事故を契機とする一連の事態はまだまだ続いているのだということを知らせている。そんな中で、より多くの人が観られるようにと開始された本作のインターネット配信は大きな意義があるはず。本作で原発がどのように描かれているのか、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。(編集部・福田麗)
映画『100,000年後の安全』は公開中