美術家・横尾忠則の初ドキュメンタリー映画が製作開始 『ヨコハマメリー』監督が迫る現代の巨人
ジャンルを超えて活動する美術家・横尾忠則をテーマにしたドキュメンタリー映画『映画 横尾忠則(仮題)』の製作が発表された。これまでにも横尾を特集したテレビ番組などはあったが、横尾にテーマを絞ったドキュメンタリー映画が製作されるのは今回が初めて。今月27日に75歳の誕生日を迎え、その当日には旭日小綬章を叙勲された現代美術の巨人に迫る作品だ。
本作は、世界的なアート界の巨匠である一方で、多岐にわたる活動を長年行ってきた横尾忠則をテーマにした初のドキュメンタリー映画。同時代を生きている人々にとってもその活動の全ぼうを把握するのは容易ではなく、ある人にとってはデザイナー、もしくは世界的評価も高い美術家として、またある人にとっては映画『新宿泥棒日記』「寺内貫太郎一家」シリーズでの俳優として記憶されている横尾の真実の姿に迫る作品となる。
生きながらして伝説となっているといっても過言ではない人間・横尾をカメラで追うのは中村高寛監督。戦後の横浜で50年もの長きにわたって生きた伝説の娼婦をテーマにした初監督作の映画『ヨコハマメリー』で、話題をさらったドキュメンタリー界の新鋭だ。前作で見せた確かな取材力と構成力を武器に、本作でも独特の視点から、「横尾忠則」を描いてくれるに違いない。
国内での評価はもちろんのこと、海外でも横尾の作品は、モダンアーティストならば誰しもあこがれるニューヨーク近代美術館やボストン美術館、さらにはヨーロッパ最古の美術館一つともいわれるウフィツィ美術館に収蔵されるなど揺るぎない評価を確立している。さらに6月27日に75歳となったばかりでありながら、ツイッターを駆使するその姿、そして今後も「ヨコハマトリエンナーレ2011」をはじめとして多くの展覧会が企画されているなど、その活動の勢いは留まるところを知らない。現代の巨人ともいえる横尾のすべてに迫った作品は7月から本格的に製作が開始され、来年2012年の春に完成、同年中に公開される予定となっている。(編集部・福田麗)
『映画 横尾忠則(仮題)』は2012年公開