「最近のジブリの路線て、どうなんですか?」女子高生からのするどいツッコミに、宮崎吾朗監督が本音を語る!
8日、神奈川近代文学館にて、スタジオジブリの最新作『コクリコ坂から』の高校生限定試写会が行われ、宮崎吾朗監督と株式会社ドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏が、イベントに招かれた高校生たちと熱いトークを繰り広げた。
この日集まった総勢160名の高校生たちを前に、宮崎監督は「思ったよりもみんな、髪の毛が黒くて安心しました」とホッとした様子。和気あいあいとした雰囲気のなかで、高校生たちは積極的に発言をし、「昔の桜木町駅が出てきてうれしかった」という横浜っ子らしい意見から、「主人公の女の子と、妹との関係にすごく共感を持てました」「主人公の男の子がすごくかっこよかったです!」「亡くなったお父さんと夢の中で会えたシーンが切なくて泣けました」など、高校生らしい意見が続々と宮崎監督に語られた。
「わたしはジブリのファンタジーが好きで、最近の路線はどうかと思っていて。本当はこの作品もどうなんだろうって思いつつ観に来たんですけど、実際観たら、ものすごく感動しました」という女子高生の率直な感想に、うれしそうな笑顔を浮かべた宮崎監督だったが、「これからジブリの路線はどうなっていくんですか? ファンタジーを作る予定はありますか?」と質問されると、監督の顔から笑顔が消えた。「とてもまじめな話になりますが、ファンタジーアニメは世界中でたくさん作られていて、正直、作り尽くしたという感があるんです。それから、3月11日に起きた東日本大震災、あれだけの現実を前に、生半可なファンタジーは作れない、という気持ちもあるんです。だから、これからしばらくは現実に軸をおいた作品を作っていきたいと思っています」とファンタジーアニメを数多く作ってきたスタジオジブリだからこその責任を語った。
また、昨年末からスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに弟子入りしている川上氏は、ニコニコ動画でも生中継されたこのトークショーの感想を聞かれ、「みんなが手を挙げて意見をたくさん言ってくれたのがうれしかったです。大人になるとだんだん、手を挙げられなくなりますから!」と本作に登場する主人公と同じように、生き生きと意見を述べる現代の高校生たちに、目を細めた。
本作は、1980年に「なかよし」で連載されていた高橋千鶴(作画)・佐山哲郎(原作)による同名の少女漫画をもとに作られたスタジオジブリ最新作。1963年の横浜を舞台に、高校生の主人公、海と俊の初々しい恋、ピュアで熱い青春を描く。(編集部・森田真帆)
映画『コクリコ坂から』は7月16日から全国公開