22年前に製作され封印!? 福島第一原発に問題提起した映画が緊急劇場公開決定!「日本全土がチェルノブイリと同じように危険地帯に」
原子力発電所の危険性を訴え、1989年に制作された福島第一原子力発電所を追ったドキュメンタリー映画『あしたが消える-どうして原発?-』の製作会社の元に眠っていたフィルムが発掘され、渋谷ユーロスペースにて緊急劇場公開されることが決定した。本作は、福島第一原子力発電所の定期検査など指導的な立場で働いていた52歳の父を骨がんで失った仙台市の主婦が投稿した新聞記事をきっかけに、原子力発電所に疑問を抱いた平形則安が制作した55分間のドキュメンタリー映画。監修には原子力資料情報室の共同代表を務める西尾漠氏も携わっている。
日本の原発で働く被曝労働者たちの切なる証言や、被曝の危険性を明らかにしようと奮闘する医師、実際に福島第一原子力発電所4号機の設計に携わった田中三彦氏の証言などを収録した本作。映画の最後には、「福島原発で大事故が起こったときに、日本全土がチェルノブイリと同じように危険地帯に一変する」という衝撃的なナレーションも登場するという。その内容から、チェルノブイリ原子力発電所の事故から3年あまりで人々がまだ原子力発電所に対して大きな疑念を抱いていた1989年当時でさえ、テレビ放映や大掛かりな劇場公開が実現することはなかったという。
原子力発電所に関する著書を数多く執筆している作家の広瀬隆氏は、本作について、「22年の星霜が流れるあいだに、われわれ日本人は何を忘れたのか。原発で働く被曝労働者と同じ条件の汚染地帯に、福島県内の学童が生きている今、この秘蔵されていたドキュメントは、誰の胸にも突き刺さる問いを発してくる」と語っている。22年前に制作された本作が、現在のわたしたち日本人に、原子力発電所の問題を改めて提起することになるだろう。
映画『あしたが消える-どうして原発?-』は8月6日より渋谷ユーロスペースにて公開