ヒッチコック監督、幻の映画のフィルムが発見される!キャリア最初期、24歳ころの作品
1980年に80歳で亡くなったサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督が、長編映画デビュー前にかかわった映画『ザ・ホワイト・シャドウ(原題)/ The White Shadow』の本編フィルムの一部がニュージーランドで発見されたとハリウッド・リポーターが報じている。同作にヒッチコックさんは脚本家、助監督などでクレジットされている。
ハリウッド・リポーターによると、今回発見された映画『ザ・ホワイト・シャドウ(原題)/ The White Shadow』は1924年に製作された作品で、当時ヒッチコックさんは24歳。ヒッチコックさんが長編監督デビューを果たすのは翌1925年の映画『快楽の園』でのことなので、本作はそれ以前の非常に貴重なものだ。本作にヒッチコックさんは助監督、美術監督、編集、脚本としてクレジットされており、後にサスペンス映画の巨匠として名をはせることになる、ヒッチコックさんのキャリア最初期にかかわった作品ということになる。
本作は、後のヒッチコックさんの監督映画『スミス夫妻』にも出演している女優ベティ・カンプソンさんが双子の姉妹という一人二役に挑戦しているもので、1924年に全米公開されている。今回は、ニュージーランドの首都ウェリントンにあるニュージーランド・フィルム・アーカイブにて、6本あるフィルムのうち3本のみが発見されただけだが、ヒッチコック監督の研究家は「前半部分のフィルムは、ヒッチコックならではの画面作りやストーリーテリングの萌芽が見られるもの」と分析しており、映画史研究においては大きな発見といえそうだ。同フィルムのオリジナルはニュージーランドにて厳重に保管されるが、新たにマスタリングしたフィルムによる上映会がアメリカで行なわれる予定もあるという。
映画『ハリーの災難』といったコメディー色の強いものから、映画『サイコ』『鳥』に代表される恐怖映画、さらには緻密(ちみつ)な構成美が光る映画『北北西に進路を取れ』など、職人肌の監督として今なお多くの観客を魅了してやまないヒッチコック監督。そのキャリア最初期の作品が、一部だけではあるものの、発見されたということはヒッチコックファンのみならず、すべての映画ファンにとって朗報だ。今回の発見を機に、リアルタイムでのヒッチコック作品を知らない若い世代が、その魅力を知る機会が設けられることを願いたい。(編集部・福田麗)