性衝動がコントロール出来ない病!ハリウッドスターを悩ませるセックス依存症、症状と治療法とは!?
人気ドラマシリーズ「Xファイル」のデビッド・ドゥカブニー、マイケル・ダグラス、そしてサンドラ・ブロックの元夫……と、セックス依存症という病気に苦しむハリウッドスターは多い。日本人には聞き慣れない心の病気「セックス依存症」とは一体どんな病気なのか? ゆうメンタルクリニック院長で精神科医のゆうきゆう医師に話を聞いた。
多くのセレブが悩んでいる“セックス依存症”、名前のインパクトの大きさからつい、性欲が強すぎる、セックスが好き……などというイメージが浮かんでしまうが、ゆうき医師によると、「そのようなイメージとときどき混同されてしまいますが、そういったこととは少し違います。“セックス依存”というと、おそらく多くの人がかなりのインパクトを感じると思うのですが、アルコールや薬物などへの依存症と同じように、自分で性衝動をコントロールできないという心の病気なのです」という。依存症の特徴について、ゆうき医師は「通常は『しない方が良い』と思うと、理性でそれをコントロールすることが多いのですが、依存症の場合はそのコントロールができない状態。本人はダメだと思っているのにやめられないとか、したくないのにしてしまうという状態なんです」と解説。そのような状態でセックス行為をするため、セックスの後に強い罪悪感を感じたり、逆にしていないときに焦りや空虚感を感じるなど、気持ちが不安定になりやすくもあるという。また、さらにそういったネガティブ感情から逃れるためにセックスをする、といった悪循環にもなってしまうことも。
いったいどのようなひとが、どのような原因でなるものなのだろうか? ゆうき医師は、「ストレスを感じやすい人、特に孤独感が強い人に多いかもしれませんね。また、生きている意味が見つけられないとか、自分を認められない人・コンプレックスの強い人にもその傾向があります。いずれも、自分の本当の悩みと向き合えないことが原因といえます」という。セックスをすることで開放感を感じたり、生きている実感を得られることがあると、悩みからの解放=セックスという図式が成り立ち、セックスへの依存がはじまるが、もちろん実際には、「悩みから解放された」わけではない。また、ゆうき医師によると、患者にとっては、「自傷行為としてのセックス」もあるという。「性病や妊娠などのリスクをあえて負ってしまうようなセックスを望んだり、女性に多いのですが、自分を汚すためにセックスをする人がいます。この場合も、原因は自分自身と向き合えないことにあると考えられます」セックス依存症の患者には、風俗やホストクラブに夢中になってしまい、自己破産に追い込まれてしまうひともいるという。また、不倫問題を追求されたクリントン元大統領がセックス依存を起因としているといわれたように、不貞行為を複数の相手や、幾度も重ねてしまい離婚を招いてしまうケースもあるようだ。
デビッド・ドゥカブニーは、2008年にリハビリ施設に入院したこともあるが、入院するとどのような治療が行われるのか? ゆうき医師は、「リハビリは、ほかの依存症と同じく、対象から離れることが一番大切ですが、急に絶つことは簡単に出来ないでしょうし、あまりに厳しすぎると、反動でまたセックスに依存してしまうこともあります。出来ない自分を責めないことも大切です。治療中は、過去の行為への後悔や自分自身への嫌悪感など、ネガティブな感情に負けてしまいやすいもの。そうすると、今度は別の依存症になる可能性もありますから、そういった過去の自分を許すということも、カウンセリングの中でサポートしていきます。」と話す。もちろん入院はせずに、通院でカウンセリングや投薬治療を行うことも可能だという。
ゆうき医師によると、日本にもセックス依存の患者はいるものの、自分の状態を受け入れ、治療に踏み切る人はまだまだ少ないという。「人に知られたくないという気持ちが強いため、匿名での相談を望まれる人も多いんです」。セックス依存という病気は、非常にセンシティブな病気。「「あなたはおかしい」と言われて、ショックを受けてしまったひとや、「男好き」「女好き」などと言われ、とても傷ついている人もいます。」というゆうき医師は、仮にパートナーがセックス依存かもしれないと思ったら、できるだけ責めないよう、相手の話を聞いてあげ、二人にとって一番いい方法を探すことが大切だとアドバイスを送った。(編集部:森田真帆)
取材協力:ゆうきゆう
精神科医。ゆうメンタルクリニック院長。心理学に関する著作は50冊を超え、自身のメールマガジン『セクシー心理学』の読者は10万人を超える