予想外の大ヒット!?映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』が全米ナンバーワンに!! -8月8日版
全米ボックスオフィス考
2011年夏の大作ランナップが発表された当初はかなりマイナーな存在だった映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』が8月5日(金)より全米公開され、何と5,481万ドル(約43億8,480万円)という驚きの興収をたたき出し全米ナンバーワン映画となった。ちなみに本作は、歴代8月公開のオープニング成績で、映画『G.I.ジョー』を抜き第4位にランクインし、さらにシリーズ作品としては第2位の成績をマークしており、シリーズトップの映画『PLANET OF THE APES 猿の惑星』の成績にどこまで近づけるか、注目である。(1ドル80円計算)
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のように俗にリブートと呼ばれる作品は、以前登場したことのあるなじみのキャラクターやコンセプトを軸に、ストーリーには新たな側面から切り込んでいくもので、単なる原作を現代版にしたリメイクや続編などとは異なるものである。
以前にもリブートと呼ばれる作品は数多くあったものの、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』ほど予想外の成功を収めた作品は珍しい。この種の作品に対しては、二番せんじというイメージが強いだけにいつも風当たりが強く、「ハリウッドはネタが尽きたからリブート作品ばかり作っている」などという陰口も頻繁にたたかれるほどである。ただ、本作については観客が映画館にわざわざ足を運んでも無駄にならないような新鮮なストーリー感があり、アメリカの映画ファンサイトでも平均成績がA-、そして辛口で有名なファン・サイトですら映画を観に行った81パーセントのファンたちが好意的な批評を寄せている。
観客調査においては配給の20世紀フォックスによると、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』を週末に観に来ていた観客のうち54パーセントが男性、そして56パーセントが25歳以上のお客であったという結果が発表された。
今週の第2位は、先週と同じで健闘した映画『スマーフ』で2,070万ドル(約16億5,600万円)。41.9パーセントの収入減となったものの、公開後10日で7,590万ドル(約60億7,200万円)の総合収入となっている。
第3位は、意外と不調な映画『カウボーイ&エイリアン』で1,573万ドル(約12億5,840万円)の興収。製作費は1億6,300万ドル(約130億4,000万円)かかったといわれているこの作品は、先週から56.8パーセントの下降率で封切り後10日間の総合興収は6,735万ドル(約53億8,800万円)と、どうもパッとしない。芳しくない成績の理由としては、タイトルがおどけて聞こえる割には内容がシリアス過ぎるというのがハリウッド界隈の見解である。
第4位は、今週初登場の新作コメディー映画『ザ・チェンジ・アップ(原題) / The Change-Up』の1,353万ドル(約10億8,240万円)。本作を先ごろ公開された同じくR指定のコメディー映画『ステイ・フレンズ』(ミラ・クニス、ジャスティン・ティンバーレイク出演)は、デビュー週末に1,862万ドル(約14億8,960万円)を収めており、『ザ・チェンジ・アップ(原題)/The Change-Up』の出した結果は決して、いいとはいえない。
トップ5の最後は、映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』で1,302万ドル(約10億4,160万円)。49パーセントの収益減とはいうものの、かろうじてトップ5にはとどまることができた。この時点で、本作は同じくこの夏公開されたヒーロー映画『マイティ・ソー』と総合収益の面で追いつき追い越せのバトルを繰り広げており、週末直前まではキャプテンがソーを抜いたかに見えたが、週末のラストスパートで『マイティ・ソー』が再びリード。結局、公開後17日における両者の成績は、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』が1億4,320万ドル(約114億5,600万円)、『マイティ・ソー』が1億4,540万ドル(約116億3,200万円)という結果となった。
次回のチャート予想だがトップ5入り確実な作品が1本と、上位に入ればもうけもの(!?)の作品が1本。
前者はシリーズ第5弾となるパニック・ホラー映画『ファイナル・デッドブリッジ』だ。「人の死ぬ順序は変えられないし変えてはいけない」というテーマはそのまま、手を変え品を変え、想像を絶するような事故で若者がどんどん餌食になっていくこの作品は、これといった大作が公開されない週ならトップを飾るのも夢ではないが、現在のチャートは『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の評判がかなりいいため、五番せんじのホラー映画はトップ争いでかなりの苦戦を強いられることは確実である。
うまくすればトップ5に引っ掛かりそうな後者は、コメディー映画『30ミニッツ・オア・レス(原題) / 30 Minutes or Less』という作品。この映画は、ばかげていて信じられないような実話を基に映画化したもので、事実は映画よりもバカなり……というコメディー作品だ。2人のダメ強盗がピザ屋の配達青年を誘拐して体に爆弾を巻きつけた後、自分たちの代わりに銀行強盗をするように脅すのだが、あり得ないようなトホホな展開で、ほとんどコメディー状態というストーリー。映画『ソーシャル・ネットワーク』でオスカー候補にもなったジェシー・アイゼンバーグがピザ屋の配達人役で出演している。
それにしても、今年アカデミー賞主演女優賞を受賞したナタリー・ポートマンがその後に出演した作品で映画ファンを驚かせたが、ジェシーも主演男優賞のオスカー受賞は逃したとはいえ、あれ以来どうもさえない。今後ジェシーは、どうなっていくのだろうか……。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)