ジブリ作品のヒロインの衣装はピンク!ジブリ色彩設計が明かす「ヒロインはピンクでしょう!」
長年スタジオジブリ作品の色彩設計を担当してきた保田道世氏が、映画『ゲド戦記』を作っていた頃、宮崎吾朗監督と「ヒロインはピンクでしょう!」と話していたことを明かした。実際、スタジオジブリの最新作『コクリコ坂から』では、その考えに基づき、ヒロインの海はもちろん、海の祖母と母の衣装も、赤系統で統一されたという。しかし、これまでのスタジオジブリ作品の中には、ピンクの衣装がイメージにないヒロインも多数いる。スタジオジブリ作品のヒロインの衣装を検証した。
『天空の城ラピュタ』のシータ、『となりのトトロ』のメイ、『おもひでぽろぽろ』のタエ子、『耳をすませば』の月島雫、『千と千尋の神隠し』の千尋、『ゲド戦記』のテルー、『崖の上のポニョ』のポニョ、『借りぐらしのアリエッティ』のアリエッティ、『コクリコ坂から』の海は、ピンクの衣装のイメージが強い。これは、保田氏の言う「ヒロインはピンクでしょう!」という考えに基づいた衣装といえる。しかし、『風の谷のナウシカ』のナウシカ、『火垂るの墓』の節子、『魔女の宅急便』のキキ、『紅の豚』のマダム・ジーナ、『平成狸合戦ぽんぽこ』のおキヨ、『もののけ姫』のサン、『猫の恩返し』のハル、『ハウルの動く城』のソフィはどうだろうか? この8人には、ピンクの衣装のイメージはあまりない。
実は、『風の谷のナウシカ』のナウシカ、『火垂るの墓』の節子、『魔女の宅急便』のキキ、『紅の豚』のマダム・ジーナは、ピンクの衣装を身に着けているイメージはあまりないが、ナウシカは映画の後半で、節子は回想シーンで、マダム・ジーナは少女時代に、キキは母親との会話シーンでピンクの衣装を身に着けている。またピンクの衣装を身に着けていない『猫の恩返し』のハル、『ハウルの動く城』のソフィは、ハルは制服のブレザーのリボンがピンクで、ソフィは三角巾、ストール、帽子の飾りがピンクというように、装飾品にピンクが施されているのだという。となると、例外は『平成狸合戦ぽんぽこ』のおキヨと『もののけ姫』のサンだけということになるが、サンは持っている赤系統のお面をピンク色の代わりに使用。衣装の色の違いでそれぞれのキャラクターの違いが印象付けられる『平成狸合戦ぽんぽこ』を除いた、すべてのスタジオジブリ作品のヒロインに、ピンクが施されていることがわかった。
昔からピンクといえばヒロインのイメージが強かったが、スタジオジブリ作品でも、ヒロインの衣装を考える際、ピンクが念頭に置かれていたというのは、面白い。なお、ヒロインだけでなく、ヒロインの祖母、母も赤系統の服に統一されたという最新作『コクリコ坂から』は、1963年の横浜を舞台に、自宅兼下宿屋である「コクリコ荘」を切り盛りする高校生の少女・海と新聞部部長・俊の出会いから、戦争と戦後の混乱期の中で、親たちがどう出会い、愛し、生きたかを知るまでを描いた作品。長澤まさみが声優を務めた海の初恋の物語がさわやかに描かれている。(編集部・島村幸恵)
映画『コクリコ坂から』は全国公開中