樹木希林、モックンの長男で孫の雅楽さんとモントリオール映画祭に参加!約5分間の拍手喝采を受け、がん闘病からの演技の変化明かす
28日(現地時間)、カナダで開催されている第35回モントリオール世界映画祭にて、コンペティション部門に出品されている映画『わが母の記』の公式上映と記者会見が行われ、原田眞人監督の息子で本作の編集担当である原田遊人(ゆうじん)氏が監督の代理として映画祭に参加し、夏休みでカナダを訪れていた樹木希林、孫の雅楽(うた)さん(13歳)と共に映画祭に参加した。
会場は819席が満席。上映中はところどころで笑いが起き、最後には涙を拭く観客も多数みられた。年配の客の姿が目立ったが、学生や熱心な映画ファン、業界関係者も多かった。エンドロールが始まると自然に拍手がわき起こり、約5分間にわたって温かい拍手が続いた。
舞台に立った原田氏は、本作のクロージングショットを撮った次の日に震災に遭ったことを明かし、「信じられないような惨事が起こり、地震と津波がわれわれに多大なる被害をもたらしました。日本が第二次世界大戦以後最大とも言われる暗闇におおわれている中で、この作品のポストプロダクションは進んで行きました」と当時を振り返った。
また上映後のティーチインでかつて樹木ががんを患ったことについて話がおよび、「病気をしたことによって、人の弱さというものが以前よりわかるようになった。自分が病気をすることによって、人間は死というものを常に背中合わせに持っているのだ、ということを感じ、死は日常である、ということを表現しようと思いました」と樹木の死を感じた体験が演技の表現力へと昇華したことを明かした。
『わが母の記』は、井上靖が自身の家族とのきずなを基に著した同名の自伝的小説。老いた母親との断絶を埋めようとする小説家の姿を映し、母の強い愛を描いていく。主人公の小説家には役所広司、母には樹木希林、そして小説家の娘に宮崎あおいがふんし、日本を代表する演技派俳優たちの演技が光る。
映画『わが母の記』は2012年公開