「サイボーグ009」が3Dでアニメ映画化!舞台は現代で2012年秋公開!「攻殻機動隊S.A.C.」神山健治が監督
4日、新宿のバルト9で「東のエデン」「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズの神山健治監督最新作製作発表イベントが行われ、全世界待望の新作は「サイボーグ009」を現代にアップデートさせた映画『009 RE:CYBORG』(ゼロゼロナイン リ・サイボーグ)となることが発表された。
神山健治監督の前作『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』場面写真
9月20日に本日のイベント情報が解禁されるや、チケットは即日完売。YouTube、ニコニコ生放送、Ustreamという3大配信サイトで同時配信され、全世界でのべ23万人以上のユーザーが見守るなど、その注目度が非常に高まっていた神山監督の最新作。ステージに登壇した神山監督は「タイトルを観ていただければおわかりかと思いますが、僕が次回作として製作するのは石ノ森章太郎先生原作の『サイボーグ009』です。スタッフ・関係者の皆さんが、ものすごい製作発表の場を用意してくれて。正直断頭台に上がった気分でドキドキしています。映像を観ていただいて、『ねーよ』か『これは楽しみ』か、どちらでしょうか」と呼びかけると、会場の観客は大きな拍手で神山監督の気持ちに答え、ようやくホッとした表情になった。
この日披露された本作のおよそ4分半の3Dフッテージ映像は「サイボーグ009」という作品を、「攻殻機動隊S.A.C.」の神山テイストというフィルターを通して生まれ変わらせたもの。『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』は、もともと2D作品だったものを3D化した作品だったが、本作は最初から3Dを前提に作られているのが特色だという。「(ピクサーのような)いわゆるCGアニメの3D作品はありましたが、セルアニメのような3Dは初の試みではないでしょうか」と自負する神山監督。本作では、日本で普段慣れ親しまれているアニメのように見せるため、コマを抜いたり、アニメのセル画で行われる影の塗り分けのように、平板で境界線のはっきりした陰影をつけるセルシェーディングと呼ばれる手法を利用してセルアニメのような立体映像を実現しているという。
「サイボーグ009」の原作は1964年に連載開始。1960年代の米ソ東西冷戦を背景に、ベトナム戦争を舞台にするなど反戦色のあるテーマが色濃く出た内容となっていたが、それを本作では現代を舞台に置き換え「現代にサイボーグ戦士がいたらどうなるか」にスポットを当てているという。さらには911後の世界情勢を踏まえた物語になるとのことで、「サイボーグ戦士たちがどういう境遇に置かれているのか、現代における(敵役の)ブラックゴーストはどうかというところからストーリーを書きました。そこに『攻殻』でつちかったポリティカルなテーマを織り交ぜて作っています」とのこと。フッテージ映像には、フランソワーズが草薙素子のようにビルから飛び降りるシーン、六本木ヒルズらしき場所にいる島村ジョー、そして仲間であるはずのジェロニモが009を倒そうとするシーンなどもあり、神山監督も「サイボーグ戦士同士が戦うシーンがあるかもしれませんね」と期待をあおった。
タイトルにある「RE:CYBORG」については、「僕が作った『攻殻機動隊』の原点になった『009』をもう一度現代によみがえらせるという意味を込めました。また。手描きのアニメを踏襲しつつも、新たなアニメ表現に挑戦できたらという意味もあります」とのこと。公開は2012年秋を予定。「皆さんの期待に応えられるような作品となるようにがんばります」と意気込む神山監督には、会場から大きな拍手が寄せられた。(取材・文:壬生智裕)
『009 RE:CYBORG』は2012年秋公開予定