ロンドン第19回レインダンス映画祭、ベスト・インターナショナル作品賞ノミネートに日本の『ソーローなんてくだらない』
現地時間10月1日、ロンドンで開催中の第19回レインダンス映画祭で、ベスト・インターナショナル作品賞にノミネートされている映画『ソーローなんてくだらない』が上映された。上映後、吉田浩太監督、主演の芹澤興人と相手役の梅野渚が質疑応答した。
早漏に悩む男性が主人公の本作、脚本も書いた吉田監督は、製作の動機を「僕自身も早漏で、調べてみた中で、治すには自分1人では無理、女性のパートナーが必要というのがあって、それが面白いと思い、物語を考え始めました」と話す。
その女性パートナーを演じるのが梅野。バイト先の新入りの女の子に恋して早漏を克服しようとする主人公を、文字通り“手助け”することになる。手袋をはめ、顔を背けるようにして、手を貸すシーンが続くのを「普通に恥ずかしくて、芝居どころではなかったですけど、何とかそれを乗り切りました」と演技上の苦労を明かした後、「女性はそんなこと気にしないのに、男性はいろいろ大変なんだなあと思いました」と演技を離れ、女性としての素直な感想も。
早漏だけでなく、レンタルビデオ屋でのアルバイトが本業のようになっている、売れない俳優という鬱屈もある主人公を、笑いとペーソスで見せているのが芹澤だ。「後半になるにつれ、主人公が今まで逃げてきたものが追いかけてくる。アルバイトしかしてなくて30迎えちゃった男、演じていても、ほんとうにつらいというのがありました。梅野さんにやってもらうところも、何回もやっているとドキドキ感、生っぽい感じが薄れてしまうので、撮り直しが多くならないよう注意しました」と心身ともにハードワークだったようだ。
本作は、エロティックなシーンが売りの1つでもある青春Hシリーズ中の1作だが、それだけではない魅力ある作品になっている。ベスト・インターナショナル作品賞の行方に注目したい。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)