ギャンブルで儲かっているのは神様のおかげ? 良きクリスチャンにしてギャンブラーを追ったドキュメンタリー映画『ホーリー・ローラーズ』
ロンドンで開催された第19回レインダンス映画祭で、クリスチャンのギャンブラーを題材にしたドキュメンタリー映画『ホーリー・ローラーズ:ザ・トゥルー・ストーリー・オブ・カード・カウンティング・クリスチャンズ(原題)/Holy Rollers: The True Story of Card Counting Christians』が上映された。上映後、ブライアン・ストーケル監督が質疑応答した。
本作は、ブラック・ジャックを本業にしているグループを追ったドキュメンタリー。ユニークなのは、ギャンブラーであるグループのメンバーが教会にも通うクリスチャンでもあることだ。友人同士から始ったグループは、出資者からの資金を元手にカジノに通い、ブラック・ジャックで稼いで生活している。
ストーケル監督は製作動機を「メンバーの1人が友人なんだ。僕も出資したんだけど、それが大きい配当になって戻ってきて、もうちょっと多く出資して、また配当がきて、また、もうちょっと出資して、という具合で、彼らはすごく上手くやってるよ」と言う。だが、ギャンブラーは社会的には認めてもらえないというジレンマもあるようだ。「映画中にも出てくる1人のメンバーの父親は『ギャンブラーよりドラッグ中毒者の方がましだ』なんて言ってたけど、今では一番大きな出資者なんだよ」とストーケル監督は笑う。
個々がブラック・ジャックをするカジノでは、他メンバーが見張るわけでもなく、例えば、儲けを自分の懐に入れ、負けたと言っても気づかれることはなさそうだ。グループとしての成功が、互いへの信頼の上に成り立っていることも、メンバー同士の和気藹々の様子からうかがえる。凄腕のギャンブラーには違いないが、そういうところは良きクリスチャン?(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)