ハロウィーンなのに『パラノーマル・アクティビティ3』が王座から滑落!ファミリー・アニメ『長ぐつをはいたネコ』が1位 -10月31日版
全米ボックスオフィス考
日本では竹中直人の声でおなじみとなったアニメーション映画『シュレック』シリーズ人気者である「長ぐつをはいたネコ」が、今回はアニメーション映画で単独デビューを果たし、例年なら時期的にホラー映画がトップになることが多いハロウィーンの週末には珍しくファミリー・アニメ映画が全米ボックスオフィスの第1位に輝いた。
3,952館で封切られ3,408万ドル(約27億2,640万円)をたたき出した映画『長ぐつをはいたネコ』のデビュー週末興収は、これまでのハロウィーン週末においての新記録。だが、歴代ドリームワークス作品で比べると2006年アニメ映画『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』に次ぐ最低記録というあまりに対照的な結果となっている。出せば大ヒットという感あるドリームワークスのような製作スタジオでは、新作に対しての期待ハードルが高いだけに、デビュー週末興収に対するプレッシャーはかなり厳しいものがあり、ただの全米第1位では不十分なのだ(1ドル80円計算)
配給のパラマウント・ピクチャーズの観客調査によると、59パーセントが女性客、55パーセントが25歳以上の観客であったという結果が出ている。また、3D上映を行った2,827館からの収益が全体のほぼ半分の51パーセントを占め、IMAXの268館からの収益は全体の7パーセントであったと報告されている。
第2位は、先週第1位の座から65.5パーセントも滑り落ちてしまった映画『パラノーマル・アクティビティ3』で1,814万ドル(約14億5,120万円)。ホラー映画の本番であるハロウィーン週末だというのに、ネコに首位から引きずり下ろされてしまった。この手の映画は往々にして2週目の興収が激減するのが常だが、シリーズ2作目の同時期が59.4パーセント減だったのに比べ、3作目は65.5パーセント減と降下率が悪化してしまった。だが面白いことに興収のトータルでは前作を軽く追い越すと予想されており、2週目の収益がガタ減りしたといっても作品の売れ行きが悪いとは限らないのである。
今週第3位は、ジャスティン・ティンバーレイク出演のSFサスペンス映画『TIME/タイム』で1,205万ドル(約9億6,400万円)。3,122館で封切られたにしては少々残念な結果で、前回のジャスティン主演ラブコメ映画『ステイ・フレンズ』のデビュー週末1,862万ドル(約14億8,960万円)や、同ジャンルの映画『ミッション:8ミニッツ』の1,481万ドル(約11億8,480万円)などと比べてもやや元気がない。
第4位は、ワンランクダウンの映画『フットルース』リメイク版で550万ドル(約4億4,000万円)。先週は粘りを見せたものの今週はついに46.8パーセントの落下。だが、現時点までに3,854万ドル(約30億8,320万円)の興収で予想以上のヒットを記録しており、リメイク作戦は成功だったいえそうだ。
トップ5の最後は、2,259館で封切られたジョニー・デップの映画『ザ・ラム・ダイアリー(原題) / The Rum Diary』で513万ドル(約4億1,040万円)。ジョニーの作品にしてはかなりおそまつなデビューで、2,000館以上で封切られたジョニーの作品の中でも最下位のデビュー週末興収となった。
さて、今週末全米封切り予定のめぼしい新作は2本。恐らくトップ5入りすると思われるが、果たして大ヒットとなるかは疑問なところ。
特にボックスオフィスの結果に注目が集まっているのは、ベン・スティラー、エディ・マーフィ、マシュー・ブロデリックが共演する豪華キャストのコメディー映画『タワー・ハイスト(原題) / Tower Heist』。実はこの映画、来年のアカデミー賞に深いかかわりのある人物が2名絡んでいる。監督のブレット・ラトナーは来年度放映のアカデミー賞授賞式のプロデューサーを担当しており、エディはアカデミー賞の司会を務めるという、話題を集めそうな感ありの作品なのだ。ちまたではこの映画のよしあしがアカデミー賞授賞式にも響くのではとうわさされており、今からこの映画の動向に注目が集まっている。
次回ランキングでトップ5登場が予想される2本目は、日本ではなじみが薄いもののアメリカでは大人気のコメディー映画『ハロルド&クマー』のシリーズ3作目『ア・ベリー・ハロルド&クマー 3Dクリスマス(原題) / A Very Harold & Kumar 3D Christmas』。アメリカでは11月末に感謝祭そして12月にはクリスマスと、里帰りやパーティー、ショッピングなど、日本の年末・年始に似て何かとストレスのたまりやすい時期となっており、『ハロルド&クマー』のような何も考えずにストレス発散のために大笑いできるような、おバカ映画がウケル季節でもある。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)