強引なアプローチは大歓迎! アンケート結果に見るイマドキの恋愛事情とは!?
恋にのめり込む老紳士の姿を軽妙に描いた映画『風にそよぐ草』からは、年齢を気にせずに自由に恋をするフランス人らしい恋愛観がうかがえるが、ここ日本でも男女の6割が年齢を気にしないというアンケート結果が出た(12月14日時点)。
本作の主人公は、美しい妻と成長した子どものいる親切な初老の男。彼が思いを寄せる女性というのも、歯科医院を共同経営するやり手の熟女だ。このように大人の恋愛が日常的なこととして描かれる恋愛大国・フランスに比して、日本の男女は何歳になっても恋をしていたいという願いとは裏腹に、フランス映画の登場人物のように年齢を気にすることなく恋を始めることはめったにないのが現実だろう。アンケートではさらに「強引なアプローチはあり!」と回答した人が7割を占め、日本の男女の恋愛願望が明らかになった。とはいえ、日本中が恋愛に積極的なタイプの人たちばかりというわけではなく、むしろ恋に受け身な草食系男子や干物女が増加している今どきの恋愛事情がアンケート結果につながったといえそうだ。強引にアプローチされることを期待する、ひそかな恋愛願望を抱いていると推測されるが、そんな恋愛願望を胸のうちにひた隠す人こそ、本作の主人公が見せる恋する人間にありがちな、めくるめく妄想に思わず自分を重ね合わせて笑ってしまうかもしれない。
相手の家まで手紙を届けに押し掛け、毎日電話をかけたかと思うと、今度は突き放してみたり……。不器用ゆえ暴走気味な主人公の行動には「コワすぎ!」と突っ込まずにはいられず、いくら何でも女も引いてしまうのではと思いきや、はた迷惑どころか相手もまんざらでもなさそうな様子を見せる。主人公がいかに強引なのか、はたまたアプローチによって相手の女にどんな気持ちの変化が起きるのか。年がいもなく恋に揺れ動く大人たちの様子が楽しめる。
映画『風にそよぐ草』は、『ヒロシマモナムール』や『去年マリエンバートで』などで知られる御年89歳の名匠アラン・レネが、恋に翻弄(ほんろう)される大人の男女をユーモラスに描いた恋愛映画。キツネにつままれたような結末まで、驚きと戸惑いに満ちた不思議な作品になっている。(文:岩永めぐみ)
映画『風にそよぐ草』は12月17日より、岩波ホールほか全国順次公開