伝説のヤクザ映画『竜二』が劇場上映 ニューヨークから呼び戻した35ミリプリントを使用
異色にして、現代にも通じる名作ヤクザ映画として知られる、1983年公開の映画『竜二』が、2月から東京のキネカ大森にて35ミリプリント上映されることが決定した。
本作は、故・金子正次が脚本・主演を務め、川島透監督がメガホンを取った自主制作映画。幼い娘と妻のためにヤクザとしての生活を捨てるが、平和な世界になじめず苦悩する男・竜二を主人公にした、温かくホロ苦い人間ドラマが、実に丁寧な演出で描かれる。
公開当時は派手な暴力描写の登場しない、異色だが共感を呼ぶヤクザ映画として高い評価を集め大ヒット。本作で見せた圧倒的な存在感で、俳優・脚本家として一躍名を広めた金子が、映画公開中に胃がん性腹膜炎によって、33歳の若さで死を迎えたことでも知られている。
上映にあたっては、貴重な35ミリプリントを使用。これは、昨年3月に米ニューヨークで開催された日本映画特集上映プログラムにおける、本作の海外初上映用のフィルムを呼び戻したもの。会期中に日本で東日本大震災が発生したため、その影響を考慮して、そのままニューヨークに預けていたのだという。
キネカ大森では、本作を同館の名画座企画「伝説のアウトロー脚本家・金子正次特集」として上映。金子の遺した脚本の映画化『チ・ン・ピ・ラ』を併映する。映画館のデジタル化が進んでいる中での、貴重な35ミリプリント上映の機会でもあり、映画ファンにとっては見逃せないプログラムとなりそうだ。(編集部・入倉功一)
映画『竜二』が併映される名画座企画「伝説のアウトロー脚本家・金子正次特集」は2月11日から17日までキネカ大森にて開催