山本太郎「正直、デモでなにが変わるのか悩んだときもあった」と本音も
東京ドイツ文化センターにて、映画『イエローケーキ クリーンなエネルギーという嘘』のヨアヒム・チルナー監督の来日記念シンポジウムが行われ、ヨアヒム監督、鎌仲ひとみ監督と俳優の山本太郎が、「なぜ日本では脱原発を実現できないのか?」をテーマに熱い議論を繰り広げた。
映画『イエロー・ケーキ クリーンなエネルギーという嘘』場面写真
本作は、原発の原料であるウランの採掘現場の実態に切り込んだドキュメンタリー。山本は「体に影響を与えるということを何も知らされずに、採掘現場で働かされている人がいることはとても罪深いこと。こんな未来のないエネルギーにしがみついているのは、利権構造の甘い汁を吸いたい人たちだけなんだと痛感しました」と感想を語った。
「甘い汁を吸いたい人たち」という山本の言葉に、即座に反応した鎌仲監督は、「ちなみにヨルダンでウラン炭鉱を発掘しようとしている、フランスのアレバという会社に、出資をしているのが、日本の三菱という会社です」と名指しで批判。会場にどよめきが走る場面も見られた。
ドイツでは、福島第一原発の事故から半年も経たないうちに、政府が「脱原発」を決定。鎌仲監督が、「なぜドイツでは脱原発ができたんでしょう?」と質問すると、ヨアヒム監督は、「まだ政府はきちんと決意できていないのが正直なところ」と前置きした上で、「すべては国民の力」と言い切った。
「福島第一原発の事故をテレビで観たドイツ国民はすぐに行動に出た」という、ヨアヒム監督の言葉の通り、震災翌日の12日には、シュトゥットガルトで6万人が「人間の鎖」で「脱原発」を呼びかけ、同月26日には、ドイツでは史上最大といわれる反原発デモが発生。約20万人以上が立ち上がり、ドイツ政府に圧力をかけ続けた。
「正直、デモでなにが変わるのか、悩んだときもあった」と本音をこぼした山本。だが、ヨアヒム監督の「心の声に従って欲しい。たとえデモに10人しかいなくても、あなたが11人目になってほしい」という言葉に、「できることすべてをして、みんなで頑張りましょう!」と改めて決意を語った山本に、会場からは大きな拍手が贈られた。(編集部:森田真帆)
映画『イエロー・ケーキ クリーンなエネルギーという嘘』は1月28日より渋谷アップリンクほかで公開