ダスティン・ホフマン主演のドラマ、撮影中に転倒した二頭の馬を安楽死
ダスティン・ホフマンが出演している米HBOのドラマ「ラック(原題) / Luck」で、撮影中に二頭の馬が転倒して怪我をし、安楽死させたことに対し、動物愛護団体PETAがテレビや映画撮影における安全規制を強化すべきと語っている。
このドラマは、カリフォルニアの競馬ビジネスを題材に、ダスティン演じるギャンブラー、チェスター・バーンスタインが、自分をはめた者への復讐に燃える物語。ダスティンは本作で25年ぶりのテレビシリーズ出演となり、1月末から放映されている。
このドラマの撮影中、二度にわたりレースのシーンで馬が転倒する事故があった。ドラマでは、映像製作における子どもや動物の福祉を担うアメリカ人道協会(AHA)がHBOと組んで仕事をしていたが、AHAはこの事故について声明を発表。二頭の事故は別々に起きたもので、ひとつはパイロット版の撮影時、もうひとつは第7回の撮影を行っている際に起きたもので、二頭の馬はどちらも手術不可能な重傷を負ったため、「最も人道的な選択は、安楽死だった」としている。また、この両方で、エンドクレジットに書かれた「このドラマに登場するいかなる動物も危害を加えられていません」というメッセージを削除したという。またHBOはこの事故についてニューヨーク・オブザーバー紙に声明を発表し、二度目の事故の後、レースのシーンでの手順についてAHAと専門家と再調整するため、撮影が延期されたこと、獣医と、馬の脚部を撮影するX線技師を増員したことを語り、「HBOは、製作再開前に、AHAによる厳格な安全規約を改めて取り入れました」と語っている。
この事故について、動物愛護団体のPETAは、撮影開始前にHBOに対して安全に関するアドバイスを申し出たが、拒絶されたと反発。同組織のウェブサイトのブログのなかで、「おそらく、プロデューサーたちが我々の提案した安全手順を取り入れていれば、馬たちは今も生きていただろう。二頭の死んだ馬たちは、テレビや映画、広告において動物たちが使われることの、闇の部分を示すことになった」と語っている。現在、PETAはHBOとさらなる事故を防止するために話し合いをしているという。(竹内エミコ)