74歳大林宣彦監督、最新作が公開!「2年前に一度死んだが、この映画を作るためによみがえってきた」
12日、平和と復興のシンボルである「長岡花火」を題材にした映画『この空の花 長岡花火物語』の初日舞台あいさつが東京・有楽町スバル座にて行われ、大林宣彦監督、主題歌を担当した伊勢正三、出演の原田夏希、富司純子らが登壇し、作品に込めた深い思いを語った。
本作は、新潟県長岡市が毎年8月に「世界中の爆弾をすべて、花火に替えたい」という祈りを込めて打ち上げられる長岡花火を通して、歴史的事実をセミドキュメンタリータッチで描く人間ドラマ。メガホンを取った大林監督は、「ただ『ありがとう』の一言に尽きます」と静かな笑みをたたえてあいさつ。撮影前に、一時は命が危ぶまれるほどの大病を患っていたという大林監督は、「2年前に一度死んでいましたので、この映画を撮るためによみがえってきたのかなと思う」と何度もくり返しており、思い入れの深い作品に仕上がったようだ。
主題歌を担当した伊勢は、「これだけ盛りだくさんの映画を、一つの主題歌にまとめるのはすごく大変でした」と明かす。そもそものきっかけは、伊勢が長岡でコンサートを開いていたとき、偶然大林監督が観に来ていたこと。「監督は客席から『しょうやん! 俺はこの長岡で、命がけで映画を撮ることに決めたよ! だから主題歌を作ってくれないか?』と叫んだ」と伊勢はそのときのことを振り返った。
そして出来上がった主題歌は、ワルツ。「突き詰めていくと、みんなが望むのは平和。それをリズムで表すなら、絶対にワルツ」と伊勢。それを聞いた大林監督は、「みんなが同じ気持ちに向かっているのがわかって、とてもうれしかった」と笑顔を見せた。
映画『この空の花 長岡花火物語』は、大林監督自らが「悲しみの祝祭」と称する、復興と再生への祈りが込められた渾身の一作。(取材・文:伊藤南)
映画『この空の花 長岡花火物語』は公開中