醜い顔は罪なのでしょうか…ムンクの「叫び」そっくりに生まれてしまった男の生涯を描いた映画が公開へ
エドヴァルド・ムンクの名画「叫び」そっくりに生まれてしまった男の悲恋と不遇の人生を描いた映画『ムンクの叫び』が5月26日より公開される。現代日本を舞台にした「オペラ座の怪人」ともいえる作品を手掛けるのは、アニメ「ちびまる子ちゃん」の脚本を担当していた映画監督の葉山陽一郎だ。
本作の主人公・赤沼かずおは、その醜い容姿故に子どものころからいじめを受け、家庭でも疎まれる存在。デザイナーとしての才能に恵まれながらも表舞台に出ることは許されないという日々を送っている。さらには、兄とは対照的に容姿の優れた弟からは、そのデザイナーの才能をねたまれる始末だ。そんな中で、かずおは中学時代の同級生で密かに思いを寄せていた怜子と再会する……。
ムンクの「叫び」にそっくりだというかずおの特殊メイクを手掛けたのは、テレビドラマ「怪物くん」「妖怪人間ベム」などで知られる特殊メイクアーティスト・梅沢壮一。妙にリアルで作品の世界観にマッチしたそのビジュアルは、圧倒的なインパクトを備えている。
そんなかずおを演じているのは、経歴不詳の謎の俳優・中野淳史。もっとも、顔に特殊メイクが施されていることから、その素顔、ならびにプロフィールは未公開となっている。その特殊メイクに隠された素顔は果たしてどんな顔なのかと観客の想像力を刺激する、製作陣の憎い演出だ。
「叫び」の作者であるムンクが子どものころから精神薄弱で将来を心配されていたというエピソードに主人公が自身の姿を投影するなど、本作でムンクは単なる道具立て以上の役割を担っている。「叫び」で描かれている人物は、実は叫んでいるのではなく耳を押さえているというのはあまりにも有名な話だが、本作で最後に叫ぶのは誰なのか。そうしたところもじっくり味わいたい作品に仕上がっている。(編集部・福田麗)
映画『ムンクの叫び』は5月26日より池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開