韓国の教師たちが生徒を性的虐待…「なんてひどい国」との意見に「日本でも起きている」と警鐘
22日、明治学院大学白金キャンパスで映画『トガニ 幼き瞳の告発』公開記念シンポジウムが行われ、児童虐待の現状に詳しいジャーナリストの小宮純一氏が、本作の原作者コン・ジヨンと共に、日本における児童虐待の現状に警鐘を鳴らした。
2005年に韓国で実際に起きた、児童への虐待事件をモチーフにした本作。ある地方の聴覚障害者学校を舞台に、学校ぐるみで生徒への性的虐待が行われていることを知った新任教師が、子どもたちと共に事実を告白。法廷で理不尽な現実に立ち向かう姿を描きだし、昨年公開された韓国では460万人を動員した。
この日集まった学生や一般客は、スクリーンに映し出されるあまりにもむごく、やるせない児童性的虐待の描写に衝撃を受け、言葉を失った。上映後に登壇した小宮氏は「この映画を観て『韓国とは何てひどい国だ』といった日本の学者がいたそうです。おそらく一般のリアクションもそうだろうなと思います」とコメント。一方で「日本の児童養護施設の中での施設内虐待は、メディアが報道したものだけでも1982年以来、約150件。シンポジウムの会場で配布した年表は1995年~2011年10月までの集計で、139件がまとめられている。それが日本という国なんです」と本作が決して他人事ではないと強調。
それを聞いたジヨンは「この映画が日本で公開されることになり、韓国の人から『韓国の恥を広めることだ』と言われ、良心の呵責(かしゃく)も感じました。でも日本でいろんなインタビューを受けるうちに、日本でもこういう事件があったこと、またアメリカやヨーロッパでも起きていたことを知りました。これは韓国だけでなく、どこの国でも起きること。(教師などの)権力を持った人は、監視の目がないと誰でも悪魔になってしまうのです」とコメント。
本作の上映は、韓国の人々に怒りの感情を呼び起こし、不条理な司法制度の変革を求め、障害者や児童に対する性的犯罪への懲罰を強化する「トガニ法」(子どもの性暴力犯罪の処罰に関する改正案)が立案された。小宮氏は「残念ながら日本にはそういう法律がない。この映画には(児童虐待の現場において)日本にはないものがいっぱい描かれていましたし、それを支える人たちについてもふれられていた。残念ながら日本の性被害児童に対する司法面接制度などのシステムとしてはまだ、韓国の現状にすら達していない。これは日本の恥です」と日本の現状に憤りを隠せない様子であった。(取材・文:壬生智裕)
映画『トガニ 幼き瞳の告発』は8月4日より全国公開
【訂正】初出時の「日本の児童虐待」を「日本の児童養護施設の中での施設内虐待」に、また日本と韓国の比較について表現があいまいだったので、より正確な表現に変更しました。訂正してお詫びいたします。