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上映費用を自腹で捻出!本当にコワイ現代版『四谷怪談』はじめ評価の高い池田千尋監督作特集上映

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池田千尋監督
池田千尋監督

 劇場長編デビュー映画『東南角部屋二階の女』が好評だった池田千尋監督の特集上映が7月7日~13日、東京・オーディトリウム渋谷でレイトショー上映される。上映費用を「Motion Gallery」でのクラウドファンドと監督の自腹で賄う決死のイベントだ。

 上映されるのは『東南角部屋二階の女』をはじめ、薄幸女優・中村優子がやたらと怖い現代版『四谷怪談』、2003年のカンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に選出された短編『人コロシの穴』など全9作。そのほとんどが東京藝術大学在学中か映画祭用の企画モノだったため、一般の人に観てもらう機会がなかったというのが実情だ。

 池田監督は「企画モノでも、その中でいかに自分を出すか挑戦してきたつもりです。でもお祭り的に上映され、公開があまりにもないがしろにされてきた。何より、撮ったことすら世間に知られていないという状況が一番マズい。協力してくれたスタッフ・キャストへの責任もあるので、自ら今回の上映を企画しました」と気合のほどを語る。

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 特にこの2~3年に制作した長短5作品には思い入れがあるという。その間、約1年かけて執筆した長編映画の脚本を映画会社に持ち込んだが、実現しなかった。内容は評価されたが、オリジナルというのが要因だ。採算が見込まれる原作ありきの企画を重視する、今の映画界の現状を象徴するエピソードだ。

 その悶々とした気持ちを短編『とんねるらんでぶー』で、退屈な田舎暮らしから抜け出したいけどできないヒロインに重ねた。また『東南角部屋二階の部屋』のヒット以降求められるウェルメイドな作風から抜け出すべく、激情型ヒロインを主人公にした『妙子の恋』に挑んだという。

 池田監督は「短編の予算は少ないけど、撮影の山崎裕さんらそうそうたるスタッフが手弁当で駆けつけてくれた。自分が大きい作品に関わる時にまたお声がけして、お返しをしなければ。いま、物凄い借金をしている気分(苦笑)」と本音を漏らす。今回の上映が次のステップへにも繋がることを期待したい。(取材・文:中山治美)

池田千尋監督特集上映は7月7日~13日、東京・オーディトリウム渋谷にてレイトショー上映

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