フランシス・フォード・コッポラ監督が自腹持ち出し低予算の最新作を語る!商業的な映画界にコッポラ監督の居場所はない?
巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、作家エドガー・アラン・ポーをモチーフにしたゴシック・ミステリー『Virginia/ヴァージニア』について語った。本作は、自己資金を用い、脚本はオリジナルストーリーかつパーソナルなものにするというルールを定めて作り上げた入魂の一作だ。
コッポラ監督がトルコのイスタンブールで実際に見た夢が、本作を製作するきっかけとなった。「楽しくお酒を飲んで眠りにつくと、夢の中で少女に出会ったんだ。彼女は矯正器具を付けた歯をわたしに見せてきて、ある家の地下には子どもたちが埋葬されていると教えてくれた。まさに映画の通りにね」
また、あらゆるミステリーの原点といえるポーを本作の案内役として登場させたのは、その夢にポーが現れたからだという。コッポラ監督は「ポーがガイドのオファーをしてくれたんだ。だから彼じゃなきゃだめだったんだよ」と明かす。しかし2、3年前にポーの小説を一気に読み直したこと、師と仰ぐロジャー・コーマンが『アッシャー家の惨劇』など複数のポー作品を映像化していることも少なからず関係しているようだ。
「昔は大作も多く撮ったが、小規模な作品を作ることに興味があった」というコッポラ監督が本作で実現したのは、「20歳のときにやり残したこと」。主演には『アウトサイダー』(1983年)への出演をオファーしていたが実現しなかったヴァル・キルマーを据えて、オリジナル脚本をもとに、気心知れたスタッフと自宅近くのコッポラワイナリーで楽しむように撮影を行ったという。
コッポラ監督は自主映画という手法を取ったことについて、「映画ビジネスはどんどん巨大になって、見たことのあるような作品ばかりになってしまった。そこにはわたしが満足できる映画を作ることができる場所がなかったんだ」と語る。73歳の巨匠が本当に作りたかった映画とはどんなものなのか? その答えは本作にある。(編集部・市川遥)
映画『Virginia/ヴァージニア』は8月11日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開