山本太郎、ゲイ役に挑戦!元シネカノン代表からのオファーに「よく使いますね、今の僕を」
24日、大分県の由布市湯布院公民館で開催中の第37回湯布院映画祭で、特別試写作品『EDEN』が上映され、武正晴監督、山本太郎、そしてプロデューサーの李鳳宇らが出席した。『フラガール』『パッチギ!』など数々の話題作を手掛けてきた元シネカノン代表の李鳳宇が、久々に映画製作に復帰した本作。「久々に戻ってまいりました」と客席にあいさつする李を観客は大きな拍手で迎え、映画界復帰を歓迎した。
本作でゲイの役に挑戦した山本は「僕も1年半くらい役者の仕事があまり出来ていなくて。国の政策……まぁ、原発なんですけど。文句を言っていたら事務所に居づらくなってやめたわけです。だから仕事もないやろなと思っていたんです」と当時を述懐。そんな状況だったため、李からの主役オファーは驚きだったといい、「よく使いますね、今の僕を」と付け加えて、観客を笑わせた。
メインキャスト7人がゲイの役となる本作。新宿2丁目のショーパブ「EDEN」のマダム兼振付師ミロを演じる山本は「僕はよくマッチョ系のゲイっぽく見られるんです。以前、演じた役がつまらなくて勝手にゲイっぽいキャラクターに変えたことはあったんですけど、最初からゲイの役でオファーを受けたのは今回が初めて。自分にとっては初めての挑戦でしたね」と振り返るが、本作ではシーナ・イーストンの「モダンガール」をBGMに軽快なダンスを披露するなど、映画『プリシラ』などに通じる華やかさと艶やかさを感じさせる好演となっている。
原作は、故・原田芳雄さんが映画化を熱望した船戸与一の短編小説「夏の渦」で、本作の企画には原田さんの名前が連なる。李によると、原作にほれ込んだ原田さんが1996年ごろに原作本を渡してきて「これをやりたい。俺、オカマの役はうまいんだよ」と映画化に意欲を見せていたという。結局そのときの企画は頓挫したが、それから10数年後の昨年1月、李は企画の再始動を原田さんに報告。企画の立ち上がりに喜んだ原田さんだったが、「でももうオカマの役は出来ないな」と漏らしていたという。
同じく湯布院映画祭に来場した若松孝二監督によると、原田さんは『千年の愉楽』出演にも意欲を見せていたという。くしくも原田さんが出演を熱望した2作品が本映画祭で上映されることとなり、「ここ(湯布院)に来て、芳雄さんの供養になったかなと。それだけで感無量です」と亡き原田さんをしのぶ李。その思いを示すかのように、本作のエンディングには原田さんへの謝辞が送られている。(取材・文:壬生智裕)
第37回湯布院映画祭は8月26日まで由布市湯布院公民館で開催中