アニメ『アシュラ』が世界から高い評価!人肉を食べた少年が人の心を取り戻す姿に感涙者続出
ジョージ秋山原作のアニメ『アシュラ』が現地時間25日、第60回サンセバスチャン国際映画祭で招待上映され、さとうけいいち監督が舞台あいさつを行った。
本作は、15世紀の飢餓や洪水で荒廃とした京都で、生きるために人肉を食べた少年アシュラが、人間の心を取り戻すまでを描いた衝撃作。映像化は不可能と言われたコミックのまさかの映画化に海外映画祭でも話題に。
すでに、世界三大アニメーション映画祭の一つである仏・アヌシー国際アニメーションフェスティバルでは最優秀長編映画賞にノミネートされ、カナダ・モントリオールのファンタジア国際映画祭では観客賞を受賞と評判は上々。歴史あるサンセバスチャンでアニメ作品が上映されるのは異例だが、3回の上映チケットがすべて完売となった。
さとう監督は「怖い者見たさに来たのかもしれないけど(苦笑)、こんなにたくさんの方に来ていただいただけでもありがたいです」としみじみ。さらに上映後のQ&Aでは夜中12時を過ぎているにもかかわらず、約30分に渡ってアツいトークが繰り広げられた。
まず「なぜこのようなサバイバルストーリーを描いたのか?」の質問に対し、さとう監督は「日本では昨年、東日本大震災で多くの人が亡くなり、また世界でも同様の不幸が相次いでいる。それを他人事のように見ているのはつらい。なので作り手として、どんな困難があっても強く生きていくという、前向きになれるような作品を描きたかった」と真摯に答えた。
また、「制作で最も困難だったことは?」という問いには、「ハードな描写を加えることで人の残酷さや心の痛みを表現した。(子どもも観る)アニメーションですから、人間はきれい事だけでは生きていけないということを描くのは、覚悟のいることでした」と苦悩した制作過程を振り返った。
上映後、さとう監督は観客たちの記念写真に応対するのに大忙し。メキシコから来たという女性は「過酷な人生を生きるアシュラの物語に感動して涙が止まらなかった」と語り、その目は真っ赤。また地元スペイン女性も「アシュラの動きとラストシーンが素晴らかった」と興奮気味に語っていた。
映画『アシュラ』は9月29日公開