佐藤江梨子、妖艶な悪女に!実際の暴力団抗争中心地で撮影を行った壮絶サスペンス
佐藤江梨子が来年公開の映画『ナイトピープル』で、妖艶な魅力で男たちを翻弄(ほんろう)するミステリアスな役柄に挑戦することが明らかになった。2007年の映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』では自己愛にあふれた女優志望の女性を熱演して存在感を発揮した佐藤だが、本作では「これぞ悪女!」というキャラクターを見事に表現している。
本作は、直木賞作家・逢坂剛の初期短編集「情状鑑定人」に収録された「都会の野獣」を原作に、強奪された2億円をめぐる丁々発止のやり取りをスリリングに描いている。佐藤は街のバーに突然現れた謎の女・萌子を、W主演を務める北村一輝はその思惑に気付きながらも女に惹(ひ)かれていくマスター・信治を、そして杉本哲太が神出鬼没の不気味な刑事・曾根を演じており、劇中の争奪戦同様、俳優陣の個性が激しくぶつかり合うキャスティングだ。
そうした面々による緊迫したやり取りに加え、ハードな銃撃描写も織り込んだ本作。銃撃戦の撮影は実際の暴力団抗争の中心地で行われるなど、そのこだわりはさすがの一言。タイトルは作家バリー・ギフォードの同名作品から取ったもの、そして冒頭に登場する「陳(のぶる)会」はハードボイルド小説の熱烈な信奉者である故・内藤陳氏の本名を基にしているなど、ハードボイルドファンにしかわからないようなくすぐりも随所に挟み込まれており、原作ファンはまず見逃せない一本となっている。
監督を務めるのは、死刑をテーマにした『休暇』などで知られる門井肇。その作品がモントリオール世界映画祭やトロント国際映画祭に出品されるなど、その手腕には定評があり、約5年ぶりとなる新作ではサスペンスという新境地をひらいた。
原作をそのまま映像化するのではなく、さらなる逆転劇を盛り込んだ展開は原作者・逢坂も絶賛しており、「この映画を見ると、絶対を原作を読みたくなるだろう。わたしもさっそく、読み返しました(笑)。これはもう、甲乙つけがたいドンデン返しだ」とのコメントを寄せている。(編集部・福田麗)
映画『ナイトピープル』は2013年初春、シネマート新宿、シネマート心斎橋にて公開