名カメラマンの木村大作、『春を背負って』で再びメガホン!
映画『八甲田山』をはじめ、日本映画史に残る数多くの作品でカメラマンとして活躍し、2009年には初めてメガホンを取った映画『劔岳 点の記』で日本アカデミー賞監督賞最優秀賞ほか数々の賞を総なめにした木村大作監督が、笹本稜平の同名小説「春を背負って」を映画化することが発表された。
本作は、山小屋を舞台に、家族と、そこに集う人たちの力強い生き方と温かな交流を描いた、それぞれの居場所を求める人間ドラマ。撮影は、富山県の立山連峰を舞台に2013年4月から11月にかけて8か月に及ぶ大規模なロケを予定している。
映画『劔岳 点の記』のとき、「最初で最後の監督業」「この映画を最後に映画業界を引退する」と述べたという木村監督だったが、「今回、その言葉を撤回します!」と宣言。「やはりこの映画の世界からは離れられません。何歳になってもまだできるんだ! ということで再び、メガホンを取ることを決意しました」と再び映画制作に取り組む意欲を語った。
「人間は何かを背負って生きているもの」と語る木村監督は、出版されてすぐにタイトルの「背負って」という言葉に惹(ひ)かれ、原作を手に取ったそう。もう一つのこだわりは、「居場所」という言葉だ。木村監督は「誰もが苦しみながら居場所を探し求めているのではないのでしょうか? 自分も含めて普通の人の視点を通じて“居場所”というものにこだわって今回の映画を作りたい」と語った。
原作の舞台は奥秩父となっているが、今回は「360度どこをとっても画になる、かつ日本中の山々を見渡すことができる」との理由で立山連峰に舞台を変更。標高3,000mを超えるところにある山小屋を舞台に描かれる人間ドラマと共に、立山連峰の四季を撮影する。本作が公開される2014年には75歳になる名カメラマンの木村が、壮大な山の景色をどのように映し出すのか? 早くも名作の誕生を予感させる。(編集部・森田真帆)
映画『春を背負って』は2014年全国東宝系で公開