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三池崇史『悪の教典』、中東での脱落者は2、3人!深夜に及ぶ激論に展開!

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ドバイが誇る7ツ星ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」をバックにアラビアンナイトな空間にたたずむ三池崇史監督
ドバイが誇る7ツ星ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」をバックにアラビアンナイトな空間にたたずむ三池崇史監督 - Photo:Harumi Nakayama

 三池崇史監督がメガホンを取った映画『悪の教典』が、アラブ首長国連邦で開催中の第9回ドバイ国際映画祭で現地時間11日、招待上映された。三池監督も現地入りし、近隣のトルコからもファンが駆け付けるなど約270席の劇場はほぼ満席となった。

映画『悪の教典』写真ギャラリー

 暴力や性描写の表現に厳しいイスラム教国の同映画祭で、三池作品が上映されるのは初めて。高校教師が生徒を皆殺しする同作品は、日本国内でも問題視されたとあって、三池監督は上映前の舞台あいさつで「途中で具合の悪くなる方がいると思いますが、今のうちに自分の位置と出口を確認してください」と注意喚起をして、観客の笑いを誘った。その心配も杞憂(きゆう)だったようで脱落者は2、3人だったが、上映後のQ&Aは賛否両論の反応が起こった。

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 まず、「原作のどこに惹(ひ)かれて映画化したか」を問われた三池監督が「彼自身、サイコパスであることが誰にも理解されずに孤独でいたが、少年少女たちと知り合ったことでカミングアウトできた映画だと捉えてほしい。しかも観客は映画を観ながら、この人を殺すのはかわいそうとか、この人間は殺しても良いと自然と分けているけど、主人公のハスミン(蓮実聖司)が美しいのは、無差別で殺すところ。良いやつ悪いやつと分けないところが潔い男だと思いました」と説明すると、一部の観客から拍手が起こった。

 一方で、緊張の中から生まれる人間の滑稽な姿を映し出す三池監督ならではの描写に客席から笑いが起こることに戸惑い、「ホラーなのになぜ笑いの要素を入れたのか」と説明を求める女性も。また、「この映画に正義はあるのか」と三池監督に意見をぶつける中年男性もおり、その男性の意見に賛同の拍手が起こるという一幕もあった。そうした反対意見を寄せた彼らも、予定時間を大幅に超えた激論が深夜に及んでも劇場を立ち去ることはせず、最後まで三池監督の言葉に耳を傾けていた。

 上映後、三池監督は「この映画を自分は理解できないけれど、なんとか受け止めようと思っているんでしょうね。自分と意見の異なるものを前にして自問する。それこそが、映画の見方として正しい。すごく新鮮な反応でした」と満足げに劇場を後にした。(取材・文:中山治美)

第9回ドバイ国際映画祭は12月16日まで開催

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