黒澤明監督はジョージ・ルーカスを泣かせていた! 山田洋次監督が述懐
山田洋次監督が25日、映画『東京家族』で初タッグを組んだ作曲家・久石譲とのトークイベントで、故・黒澤明監督がジョージ・ルーカス監督を泣かせたというエピソードを明かした。
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この日、映画音楽談義に花を咲かせた山田監督と久石。久石は「映画音楽では、映像に映った画面をなぞっただけの音楽が多すぎる。誰かが走ったら速い音楽。誰かが泣いたら悲しい音楽。あれじゃ効果音の延長。特にハリウッドはひどいね。観客をバカにしているんじゃないかと思いますよ」と昨今の映画音楽の現状を痛烈に批判。
すると山田監督は、黒澤明監督が明かしたというジョージ・ルーカス監督とのエピソードを述懐。「ルーカスが黒澤さんを『スター・ウォーズ』の試写会に招待したらしいんですけど、黒澤さんは『スター・ウォーズ』にはまったく興味がない。リムジンか何かに乗せられてしきりと感想を求められたんで、しょうがないから『とにかく音楽が多い』と言ったそうです。そうしたらルーカスがとにかく弁解し続けるから、『多いから多いんだ!』と言ったら、ルーカスが泣き出して、ちょっと言いすぎたかなと反省したという。そんな話を思い出しましたね」と名監督の意外なやり取りを明かした。
それを聞いた久石は「若い人は、音楽が3分鳴らないだけでソワソワする。本当はそんなことないのにね」と言及。『東京家族』では、上映時間146分のうち、音楽が流れるのは「25分くらい」と明かした。
19日に公開された『東京家族』は、山田監督が巨匠・小津安二郎監督の映画『東京物語』にオマージュを捧げて制作した映画で、『東京物語』の田舎から上京してきた年老いた両親と東京に暮らす子どもたちの物語を、現代版に再構築した作品。橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優らが出演し、今週の国内動員ランキングで初登場2位を記録し、本日付で動員50万人を突破するなど大ヒットとなっている。(取材・文:壬生智裕)
映画『東京家族』は全国公開中