山田孝之×ピエール瀧×リリー・フランキーで実話「凶悪」映画化
俳優の山田孝之が、ノンフィクションベストセラー小説「凶悪-ある死刑囚の告発-」(新潮文庫刊)の映画化作品『凶悪』で主演を務めることがわかった。獄中の死刑囚が知られざる殺人の余罪とその首謀者がまだ捕まっていないと告白したことから衝撃の事実が明るみになり、首謀者逮捕に至った実際の事件を題材にした本作。山田は死刑囚の告発の手紙を受け取り、事件の真相を世に暴いた雑誌記者・藤井、共演のピエール瀧が死刑囚・須藤、リリー・フランキーが首謀者と目される「先生」(役名・木村)を演じている。
脚本を読んで「ぜひこの作品に参加したいと思いました」と語る山田は、「タイトルの通り『凶悪』な内容ですが、雑誌記者である藤井が、須藤と木村の狂気、事件の異常さに触れて変わっていくところ」に面白さを感じたという。「人間誰しもが持つ二面性を、リアリティーをもって伝えることができれば」と意気込んでおり、日本人で初めて米ニューヨーク・アジア映画祭ライジング・スター・アワードを受賞した演技派の山田がどのように主人公を体現しているのか、注目だ。
事件については本作のオファーがあるまで知らなかったというピエールは「原作本の印象はリアリティーがあり過ぎて、とてもネガティブな気持ちになったのを覚えています」と振り返る。役についても「人殺しで死刑囚の役と聞き、『須藤という人物と同じ気持ちになることはできない』と正直に思いました」と明かすが、本作でメガホンを取る白石和彌監督の強い覚悟と決意を感じ、出演を決めたという。
「木村を演じることにひどく消耗しました」と語ったリリーは、「木村という人物を『殺人を犯すことを何とも思わず、お金がなくなることへ恐怖を感じている人物』と理解していましたが、この役を演じることは本当に疲れました」と脱力。「劇中でピエール瀧さん演じる須藤ににらまれたとき、役を超えて本当に悲しい気分になった」というが、昔から親交のあるピエールとの関係は互いの役どころにも反映され、「芝居によりリアリティーを持たせることができた」と自信をのぞかせている。
衝撃的な実際の事件を、故・若松孝二監督に師事した白石が長編デビュー作として映画化する『凶悪』。個性豊かなキャストが織り成す骨太な意欲作が、映画界に新風を吹き込む。(編集部・小松芙未)
映画『凶悪』は9月21日より新宿ピカデリーほか全国公開