竹中直人、つげ義春と今でも年賀状のやりとり
竹中直人が31日、山梨県甲府市で開催中の「山梨文学シネマアワード2013」特別トークショー「自縄自縛のボクら」に出席し、監督デビュー作『無能の人』の原作者だったつげ義春と現在も年賀状のやり取りをしていることを明かした。同トークショーは、2日に公開される竹中の最新作『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』の公開直前記念として開催。竹中のほか、奥山和由プロデューサーが出席した。
映画『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』公開直前記念トークショーフォトギャラリー
1998年にクーデターによって松竹の専務を解任されたという過去を持つ奥山は、山梨は特別な場所だと回顧。「(かつて吉永小百合や大竹しのぶのマネージャーとして有名だった)島田智子さんが昇仙峡の別荘に遊びにおいでよと言ってくれたんですよ。昇仙峡はテレビも入らないような地域で、まさに宮崎駿の『となりのトトロ』の世界。山梨は自分が一番傷ついているときに癒やしてくれた場所であり、人間として信じる気力を取り戻させてくれた場所」と意外なつながりを明かした。
さらに竹中との久々のタッグ作となる『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』について奥山が「彼(竹中)はどんな企画でも器用にこなす。だから今回は彼が一番嫌がるもの(官能)をやってみたかった」と切り出すと、竹中は「自分に濡れ場が撮れるのかと不安だったんですが、そのときに思い出したのが和田勉監督の『完全なる飼育』。小島聖ちゃんととうとう結ばれるというシーンで、いきなり監督が『わたしは濡れ場は演出できません』と言い出したんですよ。聖ちゃんは楽屋に戻って泣いちゃったんで、僕は彼女の肩をポンとたたきながら、『大丈夫。俺、映像の演出やったことあるから』って慰めた。今だから言えますが、あそこは僕が演出したんです。だから『俺、濡れ場の演出したことあったじゃん』って思い出しましたよ」と軽妙なコメントで会場を沸かせた。
またこの日、竹中は今後撮りたい作品について問われると、「つげさんと年賀状のやりとりをしているんですが、年賀状に『暗い映画を観たいです』と書いてあったんですよ。またつげさんの映画を撮りたいですね」とコメントし、会場の期待をあおった。(取材・文:壬生智裕)
映画『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』は2月2日より全国公開