オスカー初ノミネートのブラッドリー・クーパー、デ・ニーロに亡き父を重ねる
心に深い傷を負った2人の男女が、ダンスコンテスト出場を通して人生をやり直そうと奮闘する姿を描いた映画『世界にひとつのプレイブック』で、第85回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブラッドリー・クーパーが、オスカーノミネートの瞬間を振り返った。
アカデミー賞2冠の感動作『ザ・ファイター』のデヴィッド・O・ラッセルが監督・脚本を手掛けた本作は、ブラッドリーをはじめ、圧倒的な存在感で難役を務めたジェニファー・ローレンス、不器用で温かな父親役ロバート・デ・ニーロ、おせっかいな母親役ジャッキー・ウィーヴァーのメインキャスト全員が今回のオスカーにノミネート。
作品賞、監督賞のほか、31年ぶりに全演技部門でノミネートという大快挙を知ったブラッドリーは、一番初めにデ・ニーロに電話をしたそう。「もちろん僕は大興奮で電話したんだけど、ボブ(デ・ニーロ)は『おー、ブラッドリー、ロスにいるのか~?』ってオスカーとは関係ないことを話して拍子抜けしたよ……(笑)」とブラッドリーが「スーパークール」と絶賛する大俳優のリアクションに衝撃を受けたそう。
これまでに何度もアカデミー賞にノミネートされ、多彩な受賞歴を持つデ・ニーロに対して、ブラッドリーは今回が初ノミネート。「もちろん僕は最高の気分だよ! アカデミー賞でプレゼンターを務めたことは何度かあったけれど、何といっても主演男優賞だからね。すごく緊張すると思う!」と満面の笑顔を見せた。
同賞授賞式のレッドカーペットでは母親を連れて歩くという親孝行なブラッドリーだが「実は2年前に父親を亡くしていて、今回の作品で久しぶりに父と子の関係や、親の大切さを改めて感じたんだ。母親には心から感謝しているよ」と両親への思いを吐露。「(母は)今ごろ自宅でウキウキしながらドレス選びをしていると思うよ」とはにかんだ。
オスカーは「取らないと思う!」となぜか(?)自信たっぷりに答えたブラッドリーだが、妻の浮気現場を目撃したことをきっかけに精神を壊してしまった男の繊細さと激しさを、アクターズ・スタジオで培った演技力で表現した彼の熱演は評論家から高い評価を受けている。(編集部・森田真帆)
映画『世界にひとつのプレイブック』は全国公開中