放送禁止用語連発!主演男優賞候補のホアキン・フェニックスの怪演ぶりがすごい!
第85回アカデミー賞で、主演男優賞と助演男優賞、そして助演女優賞の主要3部門にノミネートされた、ポール・トーマス・アンダーソン監督による『ザ・マスター』で、主演を務めたホアキン・フェニックスの怪演ぶりが話題になっている。
トム・クルーズやジョン・トラヴォルタらハリウッドスターたちが信仰していることで有名な新興宗教サイエントロジーの創始者を題材に、人間の心の闇を浮き彫りにした本作。フェニックスは第2次世界大戦後、アルコールを断ち切れずに苦悩する退役軍人のフレディ役を体当たりで演じ、「マスター」こと新興宗教のカリスマ教祖役のフィリップ・シーモア・ホフマンと激しい演技バトルを展開している。
特にこの二人の熱演がヒートアップする留置所のシーンは必見で、引きずられるようにしておりの中に放り込まれたフェニックスのキレ具合がすさまじい。シャツがはだけた半裸状態のまま、二段ベッドに激しく頭突きを食らわせ、それでもまだ暴れ足りないかのごとく、片隅に置かれた便器を蹴りまくり、揚げ句の果てに便器が粉々になるまで破壊し尽くすという徹底ぶり。その隣の監獄の中で彼を待っていた、ホフマンふんするマスターとお互いに「FUCK YOU!!(くたばりやがれ!)」と激しくののしり合う姿も壮絶だ。
才気あふれる演技派俳優として認知されるフェニックスだが、2008年にはケイシー・アフレック監督の『容疑者、ホアキン・フェニックス』の役づくりのためということは伏せたまま、突如俳優引退宣言をして周りをあっといわせた前例があり、同時に彼の賞レースでのキャンペーン活動嫌いも知られている。
今回アカデミー賞主演男優賞最有力候補とうわさされる『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイスや、『フライト』のデンゼル・ワシントンら居並ぶオスカー俳優の候補者たちの中でも、フェニックスはひときわ異彩を放っている。彼こそまさにアカデミーの賞レースのダークホース的存在で、卓越した演技力という面でも、そして賞レース嫌いの本人が果たしてレッドカーペットに姿を見せるかどうかという面でも世間から注目されるだろう(文・平野敦子)
映画『ザ・マスター』は3月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿バルト9ほか全国公開