アメリカのインディーズで注目の監督アレックス・カルボウスキーの新作とは?
映画『タイニー・ファニチャー(原題) / Tiny Furniture』で注目され、ゴールデン・グローブ賞で2部門受賞したテレビシリーズ「ガールズ(原題) / Girls」で名をはせたアレックス・カルボウスキーが、新作『レッド・フラッグ(原題) / Red Flag』について語った。
同作は、インディーズ系の映画監督アレックス(アレックス・カルボウスキー)は、5年間付き合っていた彼女と別れ、自暴自棄になっていた際に、製作した映画の宣伝のためにアメリカ国内のツアーに出かけることを決意する。その道中で、彼は熱烈な女性ファン、リヴァーと出会い、勢いで一夜を共にしてしまう。だが、積極的すぎるリヴァーに嫌気がさしたアレックスは、途中からツアーに同行してきた友人で児童本作家ヘンリーをリヴァーに紹介するが、徐々に3人の関係が複雑になっていくというドラマ作品。アレックス・カルボウスキーは、本作で主演/脚本/監督を務めている。
実際にアレックスは、自身の作品でツアーをしていたそうだ。「2年前にサウスアーツという機関から、少し風変わりな映画を南部の州に紹介するという名目で、12日間で12回の試写を南部の州で行ったんだ。当時少し借金のあった僕は、このツアーに参加して借金から抜け出そうと思って同意したんだ。実際にはレンタカーで、1日6~7時間も毎日移動し、モーテルに滞在しながらファストフード食品を食べていた。それまで、アメリカ国内を車で旅したことのあった僕は、1人ではつまらないと思い、それならこのツアーの際に映画を製作したらどうかと思ったことが、製作のはじまりだった」と語った。
ドラマ作品ではあるが、映画内では自然の流れをドキュメントしているようにも思える点について「最初に30ページのあらすじを書いたんだ。実は僕が監督した最初の2作品で、即興をやりすぎて編集に時間が掛かってしまった。そのため、この30ページのあらすじには全てのシークエンスの概要を記し、さらにシークエンスの中にある重要な点もあえて書いておいたんだ。そして、信頼の置ける俳優を雇って演じさせることで、もし彼らが即興をしても、そのシークエンスの重要な点から外れないように演じてもらうことができ、自然な流れを保ちつつ、ドラマ性も強調できたんだ」と述べた。
映画内で描かれる児童本について「ヘンリー役を演じたオヌル・トゥケルは実際に児童本作家で、著作権で問題になることはなかったよ(笑)。児童本をこの映画で扱うことで、キャラクターに深みができ、さらに映画内ではこの児童本で死を探索しているため、後に主人公のアレックスがニューオーリンズのマルティグラに参加した際に啓示を受けることが理にかなっているんだ」と語った。
アレックス・カルボウスキーは、現在は最も注目されているフィルムメイカーの一人で、今後の彼の活躍が楽しみだ。映画は自己中心的な男が、映画のツアーを通して、あらゆる人々の視点を学んでいく姿が興味深く描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)